Photo by 江藤はんな

2024年3月2日(土)に神奈川県民ホールにて行われた「TRUE 10th Anniversary Live Sound! vol.8 〜ANISON COLLECTION〜」のオフィシャル・ライブレポートとライブ写真が到着した。


<ライブ・レポート>
Text by 友安美琴

2024年3月2日(土)、神奈川県民ホールにて「TRUE 10th Anniversary Live Sound! vol.8 ~ANISON COLLECTION~」が開催された。

2023年6月の「vol.7~アンサンブル~」以来となる「TRUE Live Sound!」シリーズ。今回は、2024年2月にアーティストデビュー10周年を迎えたTRUEによる、自身初の“全曲アニソン縛り”ライブだ。アニソンシンガー・TRUEだからこその構成となっており、唐沢美帆名義で作詞提供した楽曲のセルフカバーや新曲を含む全25曲が披露され、10周年イヤーの幕開けにふさわしいライブとなった。

バンドメンバーによるオープニングナンバーで、本人登場前から大盛り上がりの神奈川県民ホール。バンドサウンドと拍手が止んで静寂と暗闇に包まれたその瞬間、ステージ上段に、凛と佇むTRUEのシルエットが浮かび上がる。

まさにディーバ降臨と言えようその姿に見惚れるも束の間、アカペラで「UNISONIA」を歌い出し、己の歌声だけでホールの空気を掌握するTRUE。冒頭のフレーズを力強く響かせたあと、バンド演奏が加わると階段を駆け下りて、途中客席にマイクを向けながら一気にヒートアップさせた。

Photo by 江藤はんな

「UNISONIA」「飛竜の騎士」「Divine Spell」からなる三種の神器の一つを1曲目から解放。バンドメンバーも、Gt.清水”カルロス”宥人、Ba.二村学、Key.森谷優里、Dr.直井弦太に加えVn.小林修子、Sax.真野崚磨、Tp.具志堅創、Tb.半田信英、Mp.大場映岳と豪華メンバーが集結し、そんな構成から並々ならぬ気合を感じるが、彼女の足元にもその気合は表れている。普段のレコーディング時は裸足で歌っているといい、昨年のバースデーライブでは、テンションが上がりすぎて途中でヒールを脱ぎ捨てていたTRUEだが、今回は最初から裸足なのだ。

2曲目には、ステージにしゃがんで歌ったり、羽のようにしなやかに舞ったりと、歌に伴う身体表現も存分に魅せながら「TWIN BIRD」を披露した。「今日は思う存分、楽しんでね!」と声を上げるとそのままお立ち台に向かって飛び出し、自由に、そして元気に動き回りながら「BUTTERFLY EFFECTOR」でとことん騒ぎ、MCへ。

Photo by 江藤はんな

「今日は10年分の感謝と愛を皆さんにお伝えしようと思います。どの曲も、懐かしみながら、慈しみながら大切に歌うので、最後まで楽しんでください。」

そう一礼し始まった「ailes」は、ピアノ、サックス、バイオリンとともにスタート。それぞれの音色がTRUEの歌声と美しく共鳴し、温かな彩りをもたらした。そして、何かにとらわれたようにべったり座り込んだり脱力した姿と、立ち上がり、解放感たっぷりに歌う姿のコントラストが鮮やかな「Story of Lucifer」から、「黎明」へと続ける。切実に訴えかけるような、あるいは怯えたような……。ここまでのTRUEとは全く違う表情や、檻のように彼女に迫っていくレーザーの光が印象的だった。

Photo by 江藤はんな

ここからは唐沢美帆として作詞した楽曲のセルフカバーコーナー。タオルを振り回しながら「ケサランパサラン/every♥ing!」をキュートに歌い、「スタートライン!/せな・りえ from AIKATSU☆STARS!」で明るくエールを届ける。スタンドマイクを使った少し大人な表現の「眠れる本能/YURiKA」は、落ち着いた照明の中にその色っぽさが際立つ。バンドメンバー紹介を交えた「閃光のPRISONER/南里侑香」は、「暗闇を撃て」という歌詞に合わせてゆっくり指で撃ち抜いたあとのニヤリ顔がたまらない。

続くMCでは、「この10年間を振り返ったときに、TRUEとして歩んできた10年の軌跡、そして、唐沢美帆としてたくさんのアーティストさんと出会って共に歩んできた10年の軌跡は、どちらもなくてはならなかったもの。だから今日は、いつも以上にセルフカバーをたくさん歌わせていただこうと思っています。」と語ったあと、「みんなの聴きたい曲は聴けたんか?」とゆったり微笑みかけ、思い思いにその満足度合いを表現するファンに「え、ほとんどの人はもう聴けたの!?」と驚きを見せる。「まだ」というファンにも、「たぶんあとから歌うから大丈夫。」と伝えると、今回のセットリストのこだわりを教えてくれる。

一番のこだわりは「黎明(れいめい)」から、TVアニメ『レーカン!』EDテーマ「ケサランパサラン」への流れだそうで、「みんなを『ズコーッ!』ってさせたくて!」と声がワントーンアップ。リハーサル時に「レイメイからレーカンって!」と気づいてすっきりしたと言い、客席からは大きな笑いと拍手が上がった。

ひと笑い取ったところで、次は自身の楽曲のアコースティックコーナー。そう聞いて自発的に着席するファンと、それを「素晴らしいです、さすがです。ありがとうございます。」と褒めてくれるTRUE。とにかく温かい現場だ。

「『おかえり』とか『ただいま』って、私たちが日常で使っている言葉。ありふれた毎日の中にこそ幸せってあるんだなって、改めて皆さんに感じていただきたいなと思います。あったかくて優しい時間になりますように。」

Key.森谷と目を合わせると、エレクトリックピアノのメロウな音色がじんわりと広がり、先ほどの言葉の通り「フロム」を優しく歌い上げた。続く「アンサンブル」は、アコースティックバージョンでもしっかりと返ってくる「La la la……」のシンガロングにその喜びからか一瞬のけぞりつつも、幸せそうな表情を見せていた。

じっくりとその景色・音を噛み締めてから、「ここからは、『マクロスΔ』の世界です。」と一言。再びセルフカバーだ。客席からは、「愛する人のために、愛する星のために、命をかけて戦ったフレイアのために歌います。」と言うTRUEの声をかき消すほどの歓声が上がり、『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』より3曲を続けて披露。

Photo by 江藤はんな

神聖で荘厳な雰囲気の中、まずは「りんごのうた/フレイアΔ鈴木みのり」「ALIVE ~祈りの唄~/ワルキューレ」。祈りを捧げるような澄んだ歌声と、かすかに聞こえる息遣いの一つ一つまでが心に沁み入る。そして「ワルキューレはあきらめない/ワルキューレ」の始まりの4カウントで、ここまで着席していたファンは総立ち。TRUEもそれに応えるように、パワフルに聴かせた。

七変化する曲調が楽しい「Another colony(Band Inst Ver.)」がバンドメンバーのみで演奏されたのち、強烈なバックライトの中、衣装チェンジしたTRUEがステージ上段にせり上がりで登場。4月24日(水)に発売の両A面シングル「ReCoda / ブルーデイズ」より、TVアニメ『転生貴族、鑑定スキルで成り上がる』OP主題歌である「ブルーデイズ」をフルサイズで初披露。疾走感たっぷりに歌い上げた。

Photo by 江藤はんな

作品の主人公、アルス・ローベントは「人のいいところを見つける天才」ということで、「私も相手のいいところや素敵なところを見つける人でありたい、アルスに出会ってそんなふうに思ったんです。」「大人になると自分と向き合わなきゃいけない時間ってたくさんあるでしょ? 私もそうなんだけど、そんなときに、自分自身のいいところとか素敵なところをもっと私自身が見つけてあげたいなって。」とTRUE。

自分自身と向き合わなければいけない瞬間にはぜひ『鑑定スキル』や「ブルーデイズ」をそばに置いておいてほしいそうで、「4月放送開始なんですけど……めちゃめちゃ面白いの! 実は担当させていただけるって決まる前に、身近なスタッフさんから『すごい面白い作品なんだよ』って聞いていて。今回お話をいただいたときに初めて読んだんだけど、あまりに面白すぎて、寝ないで一気見したんだけど、もうね、ほんとにめちゃくちゃ面白い!」と作品愛を早口で喋り倒した。

最終パートを前に「今来たばっかり!」と口々にするファンには「好き、それ。」とにんまり。そのあとTRUEライブではおなじみのVn.小林に「中野サンプラザで演奏を見たときに、バイオリンは剣にも盾にもなるんだ、と。剣を振り上げているようなエモーショナルな演奏をありがとうございます。暴力的なバイオリン、期待しておりますのでよろしくお願いしま~す!」と声をかけ、まずは落ち着いたトーンで「さあ、ここからは情緒が壊れるお時間となります。」と一言。

「皆さん本当にお行儀がよくてマナーを心得ているんですが、最後のブロックでめちゃめちゃ壊れるんですよね(笑)。今日も思うがままに壊れていただけたらと思います。みんな最後まで盛り上がってくれますか! 天井突き刺さってくれますか!  情緒ぶっ壊れる覚悟、できてますか! 一緒に新たな物語作りましょう、『Storyteller』!」

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元気いっぱいのタイトルコールの直後、TRUE期待通りの空気を切り裂くような鋭いバイオリンをきっかけに、恒例の“情緒が壊れるお時間”が始まった。「人の力以上に凄いものなんてない」というフレーズでバンドメンバーに目を向け、割れんばかりの歓声、クラップ、ラストサビ最後の歌詞「さぁ!」の後には「さいっこう!」と叫び、全身で音を奏で浴びる彼女の姿はとにかく輝いている。

そこから一瞬にしてダークで異様な空気感に包まれ、重く響くイントロと大歓声。次は「飛竜の騎士」だ。今回、1曲目から三種の神器が解放されていたが、残り2曲はここで登場。「Divine Spell」もあわせて披露され、会場は大きく揺れた。くらくらするほどの音圧と圧倒的パフォーマンスに情緒をかき乱されながら、体力をすべて使い切る勢いで「サウンドスケープ」まで一緒になって盛り上がった。

「良いことも、悪いことも、嬉しいことも、悲しいことも、ほんっとにこの10年でたくさんあって。でも、その一つ一つをちゃんと全部受け入れて、そして、止まることなく、逃げることなく、離すことなく、全部を音楽に変えてきた……そんな10年間でした。改めて、私の言葉に耳を傾けてくれて、私の歌に心を預けてくれて、本当にありがとうございます。」

目をうるませながらそう伝え、最後に、ありったけの感謝と愛を込めて「Sincerely」を届ける。大切に大切に紡がれていく言葉たちを、ファンもペンライトを置いて静かに聴き入った。

マイクを通さずに「ありがとうございました。」と小さく口を動かすTRUE。長いお辞儀のあと、大きな拍手に包まれながら静かにステージを去ったが、「お鶴」コールに応え再登場し、「10年分のありがとう、受け取ってねー!」とアンコールをスタートさせた。

銀テープが降り注ぐ中、まずは1曲、客席のあちこちに手を振りながら「Happy encount」を一緒に歌い、お知らせコーナーへ。

Photo by 江藤はんな

新情報もあり、「これまで『UNISONIA』『飛竜の騎士』『Divine Spell』を一緒に作ってくださったArte Refactさんと、なんと四種目の神器を作っています!」と、10周年テーマソングを制作中であることを告知。

さらに、2018年以来6年ぶりのツアー「TRUE 10th Anniversary Live Tour Sound! vol.9~TRUE×FALSE~」を発表。Billboard Liveで行う正統派なライブと、ライブハウスで行う異端なライブ。それらを同じセットリスト・違うアレンジで披露するコンセプチュアルなツアーということで、7月・10月両公演のチケットのファンクラブ先行を2024年3月9日(土)23:59まで受け付けている。ホールやライブハウスでのライブのほか、アコースティックライブ、小編成のストリングスライブ、大編成のオーケストラコンサートなど、様々な表現を経験しているTRUEだからこそのステージが期待できそうだ。

また、今回のライブ入場時に配布されたステッカーは今後のライブでも配布予定で、それらをシール帳に集めると何やらいいことが……?

「この曲を掲げてみんなと一緒に歩んでいきたいと思います。」との宣言からTVアニメ『響け!ユーフォニアム3』のOP主題歌「ReCoda」を歌ったあと、ラストは「みんなで一緒に音楽しようぜー!!」と「DREAM SOLISTER」でアンコールを締めくくる。「やめない勇気こそ強さ。私は絶対に諦めないでずっとここにいるから、何度でも続いていく道の先で再会しましょう!」というメッセージを交えつつ、ファンとの大合唱でライブをハッピーな大円団へと導いた。

Photo by 江藤はんな

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M1. UNISONIA(TVアニメ『バディ・コンプレックス』OPテーマ)
M2. TWIN BIRD(TVアニメ『バディ・コンプレックス 完結編―あの空に還る未来で―』挿入歌)
M3. BUTTERFLY EFFECTOR(TVアニメ『ひなろじ~from Luck & Logic~』OP主題歌)
M4. ailes(TVアニメ『純潔のマリア』ED主題歌)
M5. Story of Lucifer(TVアニメ『コメット・ルシファー』 イメージソング)
M6. 黎明(TVアニメ『転生したらスライムだった件 第2期』前奏曲)
M7-a. ケサランパサラン/every♥ing!(セルフカバー)(TVアニメ『レーカン!』エンディングテーマ)M7-b. スタートライン!/せな・りえ from AIKATSU☆STARS!(セルフカバー)(TVアニメ『アイカツスターズ!』オープニングテーマ)
M8-a. 眠れる本能/YURiKA(セルフカバー)(TVアニメ『BEASTARS』エンディングテーマ)
M8-b. 閃光のPRISONER/南里侑香(セルフカバー)(TVアニメ『魔法戦争』オープニングテーマ)
M9. フロム(TVアニメ『終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか?』エンディングテーマ)
M10. アンサンブル(『特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~』主題歌)
M11-a. りんごのうた/フレイアΔ鈴木みのり(セルフカバー)(「劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!」挿入歌)
M11-b. ALIVE ~祈りの唄~/ワルキューレ(セルフカバー)(「劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!」挿入歌)
M11-c. Valkyrie Never Give Up/Valkyrie (self cover) ("Macross Delta the Movie: Absolute LIVE!!!!!!") (insert song)
M12. another colony(Band Inst ver.)(The ending theme song of TV animation "Tensei Tareta Slymu Datta Koto")
M13. blue days (new song) (OP theme song for TV anime "Tensei aristocrat, appraise skill to make it up")
M14. Storyteller (opening theme song for the TV animation "Tensei Tareta Slyme Datta Koto 2nd Season")
M15. flying dragon knight (OP theme song for the TV anime "Saibu Mu'odei no Jinsou Kikiryu")
M16. Divine Spell (OP theme song of TV anime "Regalia The Three Sacred Stars")
M17. soundscape (TV anime "Hibike. Euphonium 2" OP theme song) Euphonium 2" OP theme song)
M18. Sincerely (OP theme song of TV animation "Violet Evergarden")

encore
EN1. happy encounter (OP theme of the TV animation "In the Land of Liadale")
EN2. ReCoda (new song) (TV anime "Hibike. Euphonium 3" OP theme song) Euphonium 3" OP theme song)
EN3. DREAM SOLISTER (TV anime "Hibike. Euphonium" OP theme song) Euphonium" OP theme song)