2024.2.29 礼賛 / PEOPLE 1@代官山UNIT

2月29日、礼賛が『礼賛 RELEASE PARTY「ON TIME」』を代官山UNITで開催した。前日に新作EP『PEAK TIME』をリリースしたことを記念して開催されたこのパーティーには、ゲストとしてPEOPLE 1も出演。人気の2組の共演にチケットは即完売で、フロアの後方までぎっしりとオーディエンスで埋まった中、両バンドが熱演を繰り広げた。

トップバッターのPEOPLE 1は年明けにリリースされたニューアルバム『星巡り、君に金棒』の一曲目に収録されている「PEOPLE SAVE THE MACHINE」をSEにメンバーがステージに登場して、「鈴々」からライブがスタート。アニメ『チェンソーマン』のエンディングテーマに起用された「DOGLAND」や「銃の部品」と、序盤からテンションの高い楽曲を連発していった。

ItoとDeuのツインボーカルを最大の武器に、Takeuchiのドラムを軸とした生演奏と同期を織り交ぜるステージングは見所十分。曲によってDeuとサポートのTaguchiがギター、ベース、キーボードなどを使い分けて再現度高く楽曲を表現し、もう一人のサポートであるギターのベントラーカオルのアグレッシヴなプレイスタイルを含め、5人で熱狂を生み出していく。

バラードナンバーの「紫陽花」はItoによるアカペラとゴスペル風のコーラスも印象的。「スラップスティック・ガール」の拡声器を用いたパフォーマンスに続いて、CMソングとしてもお馴染みの人気曲「フロップニック」はイントロが流れた途端にクラップが起き、こちらも人気曲の「怪獣」を続けると、オーディエンスが一斉に手を上げる。ポップな合唱コーラスを用いたパーティーチューン「夏は巡る」もフロアをさらに盛り上げた。

Deuが「僕は正直曲を作るとか演奏するよりも、めちゃくちゃかっこいい曲が世の中に出たときのほうがテンション上がるんですよ。そういう意味で、礼賛は最高。それこそ礼賛しちゃう。すごく嬉しい。そして、今日呼んでくれて嬉しいです。ありがとうございます」と話すと、最後はオートチューンを用いた多幸感たっぷりの「ハートブレイク・ダンスミュージック」で充実のステージを締め括った。

礼賛は春日山(休日課長)、foot vinegar(GOTO)、簸(木下哲)、サポートのえつこ、晩餐(川谷絵音)の順でメンバーがステージに登場し、セッションを繰り広げると、最後に登場したCLR(サーヤ)がその演奏に乗ってフリースタイルを披露。「We’re 礼賛!」とシャウトして「Damn It!」が始まるというクールなオープニングに続いて、「オーバーキル」ではオーディエンスとともにタオルを振り回し、ロックなライブを作り出していく。

「UNITのスケベな人たち、声を上げてください!」と呼びかけて始まった「スケベなだけで金がない」では、春日山が真骨頂のファンクベースを聴かせ、曲中でCLRがリードした「スケベ&レスポンス」で大盛り上がり。その後も「橋は焼かれた」、「愚弄」といった曲を続け、硬軟自在のグルーヴを生み出す楽器陣の巧みな演奏に乗って、CLRがスキルフルなフロウを聴かせるステージからは、昨年のツアーやフェス出演で掴んだバンドとしての確かな自信が伝わってくる。

「明日『ZIP!』かあ…」というCLRでなければありえない一言から始まったMCではCLRと晩餐を中心にトークが展開され、その楽しさもバンドの魅力に。「厳しい世の中なので、体も思想もむちっとしていこうと思ってます」と話してからの「むちっ」ではfoot vinegarがビートミュージック的なニュアンスのリズムで貢献し、EPのタイトル曲である「PEAK TIME」ではサビで一斉に手が振られる。『PEAK TIME』の収録曲はファーストアルバム『WHOOPEE』以上にライブ映えのする楽曲が多く、続く「Chaos」はその象徴。ハードコアなキメが続く前半からブレイクを挟んで、トランスゾーンに突入すると、簸がエモーショナルなプレイで高揚感を生み出していった。

リズム隊のセッションから始まった「TRUMAN」に続いては、CLRと春日山の小芝居を挟み、礼賛のライブではお馴染みとなったRIP SLYMEのカバー「熱帯夜」を演奏。この曲では晩餐もステージ前方に出てきてラップを披露するなどして、オーディエンスとともに〈どうかなりそうな夜〉を作り出し、CLRも「最高の熱帯夜!最高のPEAK TIMEです!」と満面の笑みを浮かべていた。

最後のMCでCLRは「明日めちゃくちゃ平日だし、仕事の人もいると思います。『でも今日みたいな日があるから頑張れるよ』みたいなことを言ってくれる人も多くて、それは私もそうで、礼賛で歌えるのは最高なんです。『芸人のくせに』とかいろいろ言われたけど、続けてたら大丈夫だなって思えるようになってきたので、ホントみなさんのおかげです。ありがとうございます」と感謝を伝え、フロアは大きな拍手に包まれる。「だから『大丈夫だよ』っていう意味も込めて、最後みんなで歌って帰れればと思います」と言って演奏された「Take It Easy」ではミラーボールが輝く中、オーディエンスが一斉にクラップをして、ポジティブなフィーリングで本編が終了した。

アンコールでは「まだみんなのことオーバーキルできてないんじゃないかと思って、ホントにキルできるまで『オーバーキル』やってみてもいいですか?」と話して、「オーバーキル」のサビを計4回繰り返すという荒技を披露。タオルを回し続けたフロアに笑顔と心地いい疲労感が広がる中、「最後の曲は悪いときのPEAK TIMEを思って歌った曲です。地味な、泥臭い、どんよりした生活。でもその延長に今日みたいな日があるからもっと頑張ろうと思えるので、今日のライブを目いっぱい楽しんで、明日からの普通の生活を頑張って、また会いましょう」と語りかけると、この日最後に届けられたのはEPのラストナンバーでもある「生活」。芸事に生きる自身の人生の過去と現在を赤裸々に綴ったこの曲では、これまでと一転してCLRの歌の表情がグッと切なく、胸に響くものがある。聴き手一人ひとりの人生を肯定する礼賛の音楽が、これからより多くの人にとって心の拠り所となるに違いないと感じた一夜だった。

【セットリスト】
<PEOPLE 1>
鈴々
DOGLAND
銃の部品
紫陽花
スラップスティック・ガール
フロップニク
怪獣
夏は巡る
ハートブレイク・ダンスミュージック

<Reviews.
Damn it!
オーバーキル
スケベなだけで金がない
橋は焼かれた
愚弄
むちっ
PEAK TIME
NO SWEAT
Chaos
TRUMAN
熱帯夜
Take it easy

オーバーキル
生活