
『リヴリーアイランド』で学んだ世の中の厳しさと慈愛の精神|エンタメを抱えて眠れ vol.2
エンタメをこよなく愛す編集者・鈴木梢のコラム連載、第二回は『リヴリーアイランド』。画面上に暮らすかわいい生き物のお世話に奔走し、お小遣いを課金しまくる梢ちゃん。そんな可愛らしい日々は突然…
私が「リヴリーアイランド」と出会い、やめるまで

『リヴリーアイランド』というゲームを知っているだろうか。2000年代にオンラインブラウザゲームとして一世を風靡した、キャラクター育成ゲームである。
「リヴリー」とは育成するキャラクターたちの総称で、飼い主であるプレイヤーの島で暮らす。リヴリーたちはキラキラかわいい宝石型のうんちをし、エサを与えるとその影響を受けて体の色が変わる。食事を与えると食べ、うんちをする点は「たまごっち」と変わらない。
そうして育てること自体にお金は基本かからないが、島をアイテムで飾り付けることができ、そのアイテムを購入するためにお金がかかる。他のプレイヤーの島へ行き、思い思いのアイテムで素敵に飾り付けられているのを見て、胸が高鳴った。
かわいいキャラクターを育てて、かわいいアイテムを集めて、自分だけの島を作る。小学生の頃にどうしてもハムスターを飼いたかった気持ちや、自分の部屋を思う存分好きなもので埋めたかった気持ちが、とにかく刺激されてたまらなかった。
私は毎日パソコンを開き、インターネットに接続し、リヴリーたちをせっせと育て、なけなしのおこづかいを握りしめてコンビニへ行き、購入したWebMoneyを無我夢中でつぎ込んでいた。
当時の『リヴリーアイランド』は、リヴリーが空腹になりすぎたり、モンスターからの攻撃が致命傷になったりすると死ぬ、非常にシビアなゲームだった。だから毎日、自分の大切なリヴリーがちゃんと生存できているか、(お金もかけているわけだし)気が気じゃなかった。
しかしある日、事件が起きた。いつものようにリヴリーアイランドを訪れると、墓が立っていた。私のリヴリーが死んだ。
おなかを空かせていたわけではないはずなので、モンスターに攻撃されたのだと思う。しかしモンスターに攻撃されることは、プレイヤーが関与しなければ基本的に起きないはず。つまり私のアカウントは、乗っ取られていたのだ。
今の時代でも、誰かの不正ログインでアカウントが乗っ取られたという話をよく聞くものだが、私が「アカウント乗っ取り」を体験したのは、それが初めてだった(ちなみにそれ以降、一度も体験していない)。
なんてつらい。手塩にかけて育てたリヴリーが死ぬのも、WebMoneyにガンガンつぎ込んだおこづかいが無駄になったのも、あまりにも悲しかった。だって子供は金がないのだから。そうして私は、『リヴリーアイランド』をやめた。
大人になった私と、復活した『リヴリーアイランド』
時は経ち、2021年。ブラウザゲームとしてサービスは2019年に終了したものの、権利が別の会社に移り、なんとスマホゲームとして復活することになったのだ。
私もそれなりに大人になったので、金がある。「リヴリーアイランド復活」の言葉に胸が踊り、私の収集癖が再び刺激され始めた。やるっきゃない。
事前登録をし、7月のリリースと同時にアプリを開く。全体のデザインは一新されたものの、当時の面影を色濃く残しており、リヴリーたちをコツコツ育てた日々と、アカウントを乗っ取られた悲しさを思い出し、なんとも言い表せない気持ちになった。
島を飾り付けるアイテムはガチャで手に入れる。また、スマホアプリ版から新しい要素が増えた。プレイヤーの分身である「ホム」がゲーム内に登場した。その服やアクセサリーなどもガチャで手に入れる。課金要素がドンと増えた。
「ラボワーク」と呼ばれるミッションをクリアするなどしてGP(ゲーム内通貨)を貯めればガチャを回せるが、もちろんリアルマネーでGPを購入することもできる。
ブラウザ版であれだけ痛い目を見たのにもかかわらず、私は性懲りもなくリアルマネーを毎月つぎ込んでいる。ガチャがなんとほぼ毎週新リリースされるため(ハイペースすぎて運営が非常に心配)、どうしても欲しいガチャが出るとリアルマネーを差し出してしまう。
スマホアプリ版の良いところは、なんといっても、リヴリーが死なない。もし長期に渡りエサを与えられなくても、研究所に保護されるか、他のプレイヤーの島を放浪するだけで、死なない。
もちろん私は毎日お世話を欠かさないので、自分のリヴリーが行方不明になったことはないのだけど、かれこれ800日以上私の島に居座っている、他プレイヤーのリヴリーのお世話を続けている。研究所送りにすることはできるのだけど、なんとなく悲しいので、送れないまま800日以上経ってしまった。もうこれはうちの子である。
そんなふうに私は、リヴリーの育成も、アイテムの収集も、おこづかいをせっせとWebMoneyにつぎ込んでいたときと同じように、今また楽しんでいる。もうすぐ春なので、桜が部屋中に舞うような家具をガチャなどで集め、アバターにも桜モチーフのふりふりの衣装を着せ、リヴリーたちを部屋に合う色にするためにせっせとエサの調合をしている。
WebMoneyじゃなくクレジットカードになったけど、今だってもしアカウントが乗っ取られたらめちゃくちゃつらいけど。それでも再び『リヴリーアイランド』でリブリーたちを愛でることができて、やっぱり嬉しいなと日々感じながら、スタート画面の「はじめる」ボタンを押している。

著者プロフィール:鈴木 梢(すずき・こずえ)
1989年、千葉県市川市生まれ。出版社や編集プロダクション勤務を経て、現在はフリーランスで活動。主に日本のエンタメ/カルチャー領域の企画・執筆・編集を行う。X:@aco220
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