TV アニメ『響け!ユーフォニアム3』オリジナルサウンドトラックの発売を記念した吹奏楽ミニコンサートが、4 月 29 日(月・祝)、神奈川・川崎 ラ チッタデッラ 中央噴水広場にて開催。同アニメのために結成された楽団・プログレッシブ!ウインド・オーケストラが作中でお馴染みの楽曲を演奏し、ゴールデンウィークで賑わう街に吹奏楽の心踊る音色を響き渡らせた。

今回演奏を担当したプログレッシブ!ウインド・オーケストラは、2022年に『響け!ユーフォニアム』シリーズの公式吹奏楽コンサートのために結成された楽団。前身となる洗足学園音楽大学フレッシュマン・ウィンド・アンサンブル時代から、同アニメの劇中曲のレコーディングや定期演奏会に参加してきたメンバーが多く在籍しており、現在放送中のTVアニメ『響け!ユーフォニアム3』でも劇中に登場する吹奏楽曲の演奏を担当している。その意味では“プログレッシブ!ウインド・オーケストラの奏でる音=北宇治高校吹奏楽部の音”と表現しても過言ではないわけだが、この日のミニコンサートは、アニメシリーズの吹奏楽監修も務める大和田雅洋の指揮のもと、同楽団が特別編成でアニメに登場する吹奏楽曲を届ける機会ということで、会場には作品のファンをはじめ多くの観衆が集った。

定刻の13時を迎える頃、“KITAUJI”のロゴが入ったお揃いの公式Tシャツを着用した楽団のメンバーたち20数名がチネチッタ通りに登場して、各々の楽器を手に整列する。そしてミニコンサートは「RYDEEN」(原曲:YMO)のマーチング演奏で開幕。ドラムメジャーの先導に従って、中央噴水広場までの数十メートルの距離を演奏しながら練り歩く。その後ろには、『響け!ユーフォニアム』シリーズに登場するマスコットキャラクター・チューバくんの姿も。「RYDEEN」といえば、TVアニメ『響け!ユーフォニアム』1期にて、北宇治高校吹奏楽部がサンライズフェスティバル出演時に演奏した楽曲。アニメの名シーンを再現するような選曲と演出に、胸を躍らせたファンも多かったのではないだろうか(行進を始める前にはトランペット奏者がソロで1フレーズ吹いて、アニメで麗奈が音出しして他の部員たちの緊張をほぐすシーンも再現していた)。

世代を超えて愛される名曲「RYDEEN」の旋律に誘われて、道行く人々も足を止めて注目するなか、楽団は溌剌とした演奏を届けながら行進して中央噴水広場前に到着。楽曲を演奏し終えると、数百人のファンが取り囲むステージへ。ここからは、楽団のマネージャーで『響け!ユーフォニアム3』の吹奏楽ディレクターを務める鳥越 濯のMCで進行していく。この日の演奏メンバーの中には、実際にアニメの劇中で流れた「RYDEEN」のレコーディングに参加していた人もいることが明かされて沸く会場。そして指揮の大和田雅洋が呼びこまれると、2曲が続けて演奏される。まずは「トゥッティ!&ヴィヴァーチェ! (Wind Orchestra Ver.)」。TVアニメ1期のEDテーマ「トゥッティ!」と2期のEDテーマ「ヴィヴァーチェ!」(共に原曲は北宇治カルテットが歌う主題歌)を吹奏楽アレンジでメドレー化したもので、もともと躍動感ある曲調に吹奏楽ならではの管楽器の厚みが加わって、とても迫力のある演奏に。そしてもう1曲は、TVアニメ『響け!ユーフォニアム3』第1話の劇中で流れた「恋」(原曲:星野源)をライブ初披露。客席からはクラップが巻き起こり、軽快なメロディーとリズムに合わせて体を揺らしながら楽しむ人も多数いた。

大人数によるアンサンブルは吹奏楽の醍醐味ではあるが、独奏の魅力も描かれているのが『響け!ユーフォニアム』という作品。ここで本シリーズを象徴する楽曲の1つ、TVアニメ『響け!ユーフォニアム2』最終話のメモリアルエンディングテーマにもなったユーフォニアムの独奏曲「響け!ユーフォニアム」を、定期演奏会でもソリストを務めた石倉雄太が披露することに。低音パートを担うユーフォニアム特有の深みのある響きを活かしたメロディー、優しく包み込んでくれるような音色が、野外の開放感あるステージに柔らかく溶けていく。そのシチュエーションも含め、劇中で田中あすかが演奏しているシーンを思い出してしまうような名演だった。

そして早くも次の曲がラストナンバーに。客席から「えー!」と惜しむ声が上がるなか、最後はTRUEによるTVアニメ第1期OP主題歌の吹奏楽バージョン「DREAM SOLISTER (Wind Orchestra Ver.)」を演奏。爽快にして勇壮なメロディーは吹奏楽アレンジにも映えるもので、サビのキメの部分では楽団メンバーが演奏しながらジャンプするなど、耳だけでなく目でも楽しませてくれる。落ちサビの箇所で木管楽器の柔らかな音色をフィーチャーして緩急も効かせつつ、ラストはダイナミックかつ力強い合奏で締め括られた。

しかしアンコールの拍手は鳴り止むことなく続き、その期待に応えてもう1曲演奏することに。この日は屋外での演奏イベントということで、「あの曲をやらねば終われない」(鳥越)と披露されたのは、吹奏楽の定番曲として知られる「宝島」(原曲:T-SQUARE)。作品のファンにとっては、TVアニメ第2期の京都駅ビルでの屋外コンサートで演奏された楽曲としてお馴染みだ。アゴゴベルが叩くサンバの軽快なリズムに合わせてノリ良く展開していく楽曲に、オーディエンスも笑顔でクラップして盛り上がる。曲中でサックス奏者が前に出てソロを吹いたり、トランペットやトロンボーン隊がフィーチャーされる場面もあったりと、ファンキーな盛り上がりを見せるなか、最後は全員が息を合わせてピシッと締めてミニコンサートは終幕した。

ミニコンサート終了後は、『響け!ユーフォニアム』シリーズの歴代OP主題歌を担当するTRUEのリリースイベントが開催された。ライブは2期OP主題歌の「サウンドスケープ」に始まり、3期OP主題歌「ReCoda」の歌唱時にはチューバくんも姿を見せて賑やかす。最後は2023年に劇場公開された『特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~』の主題歌「アンサンブル」をファンと共に合唱し、会場が一体感に包まれるなかフィナーレ。『響け!ユーフォニアム』関連楽曲を3曲披露し、大盛り上がりの中イベントは終了した。

『響け!ユーフォニアム』シリーズの音楽の魅力を改めて届けた今回のイベント。観覧自由だったこともあり、たまたま通りかかった人たちも足を止めて聴き入っていたのが印象的で、そこには生演奏の吹奏楽ならではの素晴らしい音楽体験があったのではないだろうか。プログレッシブ!ウインド・オーケストラの演奏は、現在放送中の『響け!ユーフォニアム3』の劇中曲や同作のサウンドトラックでも聴けるほか、彼らの演奏によるアニメ主題歌のアレンジバージョンをまとめたベストアルバム『Sound! Euphonium” Best Theme Songs Collection Wind Orchestra Ver.』のリリースも決定しているので、気になった人はぜひチェックしてみよう。

ライター:北野 創

[セットリスト]

RYDEEN
トゥッティ!&ヴィヴァーチェ! (Wind Orchestra Ver.)

響け!ユーフォニアム (朝もやVer.)
DREAM SOLISTER (Wind Orchestra Ver.)
宝島

[商品情報]

■TVアニメ『響け!ユーフォニアム3』オリジナルサウンドトラック
発売日:2024年7月31日(水)
音楽:松田彬人
価格・品番:
【初回限定盤】6,050円(10%税込) / 5,500円(税抜) / LACA-39050~1 (CD2枚組+スコア譜同梱)
【通常盤】3,850円(10%税込) / 3,500円(税抜) / LACA-19050~1 (CD2枚組)

Sound! Euphonium” Best Theme Songs Collection Wind Orchestra Ver.
発売日:2024年7月31日(水)
アーティスト:北宇治高校吹奏楽部 / TRUE
価格・品番:
3,300円(10%税込) / 3,000円(税抜) / LACA-25103 (CDのみ)