水曜日のカンパネラが2024年7月31日(水)に、3rd EP「POP DELIVERY」を引っ提げたZeppツアー「水曜日のカンパネラ ZEPP TOUR 2024〜POP DELIVERY〜」のファイナル公演をZepp Hanedaにて開催した。以下、その様子をレポートする。

【ライブレポート】

酷暑の東京。羽田空港近くに位置するZEPP Hanedaは、夏の暑さに引けを取らない観客たちの熱気で溢れていた。

今年3月16日、詩羽体制になって初の日本武道館単独公演「METEO SHOWER」を開催し、圧倒的なパフォーマンスを見せた水曜日のカンパネラ。今回のツアーの初めに、詩羽のソロ活動始動の発表もあり、ますます勢いに乗る彼女たちが、どのような成長を経て東京に戻ってきたのか。ファイナル公演ということで、観客たちの期待値も高まっている様子が見て取れた。

音楽プロデューサー・ケンモチヒデフミが登場すると、客席から大きな声援と拍手が沸き起こった。ステージ上のDJセット前にスタンバイすると暗転。ステージ上の大きなモニターに、ツアーのオープニング映像が流れた。全国各地を自転車で巡る詩羽の映像だ。それとリンクするように、ステージ脇からピンクにカスタムされた自転車に乗って詩羽が登場。「水曜からデリバリー」というタイトルが記される中、ステージを練り回ると、丁寧に自転車をステージ上に止めて「アルキメデス」をラップ。トライバルなビートに「チャリできた」というフレーズが印象的な楽曲だ。「みなさん声出していけますか?」という詩羽の呼びかけに、続く「バッキンガム」では、観客たちが「ヘイヘイヘイ」と手を上げて飛び跳ねて、のっけから大きな盛り上がりを見せた。

© Kotaro Yamada

「ついにツアーファイナルの東京です。元気だな、みんな。よかった! 東京ってシャイな奴が多いから最初心配だったけど、ケンモチさんが出てきたときから大盛り上がりで安心しました」と詩羽が語り、お風呂について歌ったユニークな楽曲「ディアブロ」の振り付けをお客さんたちと練習。「いい湯だね♪」という歌詞に合わせてコール&レスポンスで一体感を生み出した。続く「赤ずきん」では、パジャマを着たオオカミが布団に隠れながら登場。サビ前で布団を裏返すと「ファイナル」の文字が。そのまま続けて「POP DELIVERY」収録の「キャロライナ」を披露すると、青い衣装雨に身を包んだ4人のダンサーが登場し、「聖徳太子」へ。サビでは観客たちが左右に手を振る形で一体感に包まれた。

再びのMCでは観客たちが詩羽に向け、とびきりの「かわいい」という声援を投げかけた。「知ってる(笑)」と、詩羽は笑顔で衣装を広げて左右を歩く。ツアーでは毎回衣装を変えており、サンバイザーをつけてデリバリー風の格好をしてきたというが、ツアーを重ねるたびに、だんだんピンクになっていき、今回ピンクと水色が混ざった一番ピンクな衣装になったと笑った。そして、「好きなもの、夢は目一杯口に出すことが大事」と観客たちに伝え、七夕に短冊に願いを書いたことを語る。「小さな目標でも、口に出したり、文字にしたすることがきっかけになると思ってます。第一歩を起こすことが大事。大人も同じようにイベントに参加し、波に乗って一歩進んでみるのがいいんじゃないかな。まだ間に合う!今日中にでも紙に書いて貼っておくだけでもいいので行動を起こして」と想いを伝え、「織姫」へ。観客たちのスマホライトが会場一体を照らした。

© Kotaro Yamada

続く「ティンカーベル」では、ライトが光る客席を練り歩きながら楽曲を披露。曲終わりにステージに戻ると、再び4人のダンサーたちが登場し、「POP DELIVERY」収録の「四天王」へ。詩羽はケンモチの隣にいき、一緒に手をあげて楽曲に乗って身体を揺らす。「四天王って知ってんの?」「摩天楼で待ってんぞ」というダジャレのようなフレーズが水曜日のカンパネラらしい楽曲だ。「桃太郎」のイントロが流れると、ステージ上にウォーターボールが登場。中に入った詩羽は観客の上を転がりながら歌ってみせた。

ステージ上のスクリーンに、「水曜からデリバリー」の動画が流れ始めた。今回のツアーでは、詩羽がその土地のお店を訪れ購入したグッズを、クイズに正解した観客にプレゼントしてきたという。” 東京といえばサブカルチャー” ということで、中野ブロードウェイへ足を運んだ動画が流れる。中野ブロードウェイを散策する中、詩羽はポケモン指人形を購入。「詩羽が選んだポケモンは?」という6択のクイズに正解した1名がサイン入り指人形をゲットした。また、アイス屋さんで詩羽が選んだアイスを4択の中から当てた観客にもお揃いのキーホルダーがプレゼントされた。どちらもなかなか正解が出ず、笑いながら突っ込んでいる詩羽の様子はとても楽しそうだ。

企画は終わり……かと思いきや、「水曜からデリバリー 番外編」の文字が。続けて「HAPPY BIRTHDAYケンモチヒデフミ!!」という文字とともに、詩羽がケーキを持って登場、8月2日に誕生日を迎えるケンモチを祝った。ケンモチは、「こういうサプライズって本当に気づかないものなんですね」と照れながらも、「無事43歳を迎えることができました」とケーキのいちごを食べ、「今年は、これまで以上にみなさんにいろんな音楽を届けられる1年にしたいと思います!」と今年の抱負を語った。

© Kotaro Yamada

お祝いムードから一転、大好きな保護猫ちゃん2匹と一緒に暮らしているという詩羽は、TBS系TVアニメ「ラーメン赤猫」の主題歌「赤猫」をパフォーマンス。サビでは、ステージ上でラーメンてぼ(振りざる)を手に持ち、湯ぎりしながら歌う姿がとても様になっている。勢いそのままに「たまものまえ」へ。ダンサー4人が再登場。さらに14人の公募したキッズダンサーたちもステージに登壇し、全員でSNSでも話題の「コンココンダンス」を踊ってみせた。キレのあるダンスを大勢で踊る姿は壮観だ。

ここで詩羽は、ビッグニュースとして「日本武道館単独公演~METEOR SHOWER~」の映像作品を9月25日に販売することを発表。会場は大きな拍手に包まれた。

「ラスト3曲です。毎回、言っているけれどアンコールはないので最後まで最高に楽しんでいきましょう!」と詩羽が伝えると、レゲエ調のダンスチューン「マーメイド」へ。4つの大漁旗を持った男性たちが登場し旗を振る。ケンモチはスタッフに肩車されながら大きな「祭」のうちわを上下に振り、観客たちはタオルを手に声を出して大盛り上がり。ドープなダンストラックが流れ、ステージ上のミラーボールが回ると、詩羽体制最大のヒット曲「エジソン」へ。詩羽は観客たちにマイクを向けて、全員でシンガロング。これまで以上に大きな一体感を作り出すと、詩羽は投げキッスで応えた。

© Kotaro Yamada

「最後の曲です! みなさん楽しんでいってください!」と詩羽が伝えると、水カンのライブの最終曲としてお馴染みの「招き猫」のイントロが流れはじめた。巨大な招き猫がステージ中央に登場すると、手を招いたり払ったり、歌詞に合わせて丁寧に歌っていく。「最後は、みんなで両手でバンザイをしましょう!」と、全員で両手をバンザイしながら歌い、「みなさん愛してるよ!またね!」と詩羽は自転車に乗ってステージをあとにした。

この日のライブはとにかく愛と自由に満ちていた。詩羽が活動当初から語っている「自己肯定感」を観客たちもを強く持ち、この場所を最高に楽しもうとしている。そんな姿が会場いっぱいに溢れた、最高にハッピーでどこよりも暑いツアーファイナルだった。

文・西澤裕郎
写真・Kotaro Yamada

セットリスト

01.アルキメデス
02.バッキンガム
03.ディアブロ
04.赤ずきん
05.キャロライナ
06.聖徳太子
07.織姫
08.ティンカーベル
09.四天王
10.桃太郎
11.赤猫
12.たまものまえ
13.マーメイド
14.エジソン
15.招き猫