三浦 香が手がけるオリジナル作品「Multi-Unit Apartment」が8月1日に開幕する。本作は三浦が脚本・作詞・演出を手がけるオリジナル作品で、誰もが夢見るセレブな街……から少し外れた場所にあるリトルラブリータウンのシェアハウス・Multi-Unit Apartmentに集う8人の女たちが、美しい男に変装し復讐をするというショーステージだ。この8人の女性を演じるのは木津つばさ、持田悠生ら8人の俳優たち。レディたちがにぎやかにガールズトークをしながら、煌びやかに、そして等身大に悩み奮闘する。そんな本作について木津と持田に聞いた。

──お二人は舞台での共演は今回が初めてとなりますが、共演前の印象はどのようなものでしたか?

木津 いろんなところで名前はよく聞いていて「頑張っている子だな」という印象でした。実際に会ってみると、勢いがあって、頑張っていて、それでいてちゃんと“後輩”ができるというか。礼儀があって素晴らしいなと思いました。

持田 僕は、勉強のためにつばさくんが主演の舞台を見たことがあって。そこで「すごい芝居をする人がいる」と思って、いつか絶対に一緒に芝居をしたいと思いました。共演する前にお話しする機会があって、そのときに「今、一番芝居を一緒にしたい方です」とお伝えしました。だから一緒にできるのはすごくうれしいです。

──ちなみに、一緒にお芝居をしたいと思ったその作品は何だったんですか?

持田 舞台「東京リベンジャーズ」です。花垣武道役で。

木津 (「Multi-Unit Apartment」のココとは)全然違う役ですね。だから持田からしたら「木津よ、正反対だけど、こんな役やれんの?」って感じでしょうね。

持田 そうですね(笑)。いや、でも俺が一緒に芝居したい!と思ったつばさくんが、正反対の役をどう演じるのか楽しみです。

──稽古も始まっているということですが、一緒にやってみて、お芝居や俳優としての印象は何か変わりましたか?

木津 僕はまだ数回しか一緒に稽古ができていないんですけど……でも(持田が演じる)ビビは素直で嘘つけない子で、持田みたいな子なんです。すごく素直だからこそ、ときどき持田の一言でハッとさせられる瞬間もあって。

持田 えっ、俺、ヤバいこと言ってます?

木津 違う、違う。ビビのセリフでね! ビビは何も気にせず言った言葉がすごく的確だから、それを受けてみんなが「あっ」って気付くみたいな。

持田 あ〜! でもビビは気付いていないんですよね。

木津 そうそう。鈍感なんだよね。そういうところがビビのかわいいところ。“鈍かわいい”です。

持田 つばさくんは、やっぱりさすがです。それこそ稽古は途中からの参加で何も分かってない状態なはずなのに、視野が広いから周りを見ながら動けるし、気を遣えて。わかっていないなかで100点でいてすごいです。

木津 そう思ってくれてるの持田だけだよ。ほかのみんなは「大丈夫かな」って思っていると思うよ(笑)。

持田 いやいや! やっぱり素晴らしい人です。

──今回が初共演、しかも稽古もまだ数回しか一緒にやっていないお二人とは思えない仲の良さですね。

木津 持田は人と近づくのが早いよね。

持田 基本、人との壁を壊しに行くんで。

木津 僕も基本は突っぱねないし、その関係性がお芝居にも良い影響を及ぼすのであればなおさら、そうしたほうがいいと思う。特に今回の作品はガールズトーク。プライベートでも実際に顔をあわせて話をして笑い合っていると、それが自然と板の上で会話をしているときにも「ふふっ」ってなると思うので。

持田 こういうところも素晴らしいですよね。何よりも芝居ファーストで。

木津 芝居のためだから。プライベートでは別に持田のこと、興味ないわ、ごめん(笑)。

持田 うわ〜! ひどい!(笑)

木津 嘘、嘘!(笑)

持田 つばさくんは“芝居バカ”なんですよ。たぶん芝居のことをすっごく考えている。話していなくてもそれが伝わってくるのですごいなって。尊敬していますし、勉強させてもらっています。

──「Multi-Unit Apartment」は“失恋した8人の女たちが美しい男へ変装”し、とある復讐ショーを行うという物語。お二人が演じるのは女性ですが、最初に本作の概要を知ったときはどのように感じましたか?

木津 難しそうだなと思いました。こういうテイストの作品って、あるようでないものだなと。でもオープニングの稽古をやっているときに「これはお客さん、テンション上がるだろうな」って思いました。すごく楽しい作品になると思います。“ガールズトークの最終形”って感じですね。

持田 俺はシンプルに「すごいことが始まるじゃん」って思いました。絶対面白いじゃんって。実際、周りの俳優さんからも「何あれ、面白そう」とか「俺もやりたい」みたいに言われたりして。自分がそこに入れたのは嬉しいことだなと思いました。

木津 香さん(脚本・作詞・演出を手がける三浦 香)がずっとやりたかった作品だと伺って。だからお客様に楽しんでもらうのはもちろんですけど、何よりも香さんに楽しんでほしいよね。稽古場で感じるんですよ、「この人を笑わせたら正解だ」って。

持田 香さんが笑っているとなんかうれしいですもんね。

木津 純粋に自分がやりたくて企画をして、そこに集まった役者に思いを託している。そう思うと、香さんが楽しいと思える作品作りをしていきたい、それが俺たちの使命なんじゃないかなってすごく思います。

──木津さんはココ、持田さんはビビ、それぞれご自身が演じる役をどのような人物だと捉え、どのように演じようと思っていますか?

木津 ココは難しいんですよ。僕、自分の性格は突っ込んでいくタイプなんですけど、ココちゃんは巻き込まれていくタイプだから。

──確かに木津さんはこれまで、“巻き込まれ系主人公”はあまりやってきていないですね。

木津 いつも“突っ走り系主人公”なんで。だから今回のココちゃんは自分にとってはちょっと挑戦です。僕自身は自立しているタイプなので、巻き込まれながらも、時々自立している瞬間が見えても面白いのかなとか、考えています。あとは、女性が8人出てくる作品なので、放っておくと、どこかしら他の人物とかぶってしまうんです。しかも僕は今回、合流が遅かったので空いてる席がないというか(笑)。実際、ココちゃんも「これ以上、個性的な人、まだ出てきますか?」って聞くんですけど、それくらい個性的な人たちばかりで。だからどうしようかなと思っているところではあります。ココちゃんは掻き乱されるけど、楽しいことは好きで、その場のノリには順応する子なのかなとも思っているので、そういうことを踏まえてココちゃんを作っていけたらと思っています。

持田 ビビは自分に似ているようで似ていないところもあって。今、つばさくんも言ったように、考え過ぎずに好きなようにやるのが一番良いんだろうなとは思うし、まずは楽しんでやっていたら、おのずとビビになっていくんじゃないかなと。楽しんでふざけていきたいなと思っています。

──ショーステージだそうですが、歌や振付はどんな感じになっているのか少し教えてください。

木津 カッコいいですよ! ハンナ役の皇希が所属するREXが振付をしてくれているんです。皇希は俳優として出演もしながら振付もしていて……尊敬しています。

──女性として歌ったり踊ったりするわけですが、その辺りはいかがですか?

持田 いや〜、めちゃくちゃ難しいです。

木津 難しいよね。

持田 体の使い方とか見せるラインとかが、普段とは違うので、まず全然体に振りが入ってこなくて……。

木津 でもめちゃくちゃ見応えあると思います。みんなで「これみんなでできたら超カッコいいよね」って言っています。皇希も言っていたんですけど、今回の振付は「女性はカッコいい」っていうのがテーマで。「私たちカッコいいでしょ」っていう感じが見える振付なんです。昨日も練習のとき皇希に「ほら、あんた、かっこいいのよ」「カッコ良さもっとちょうだい!」って。活気のある稽古でした。

──女性を演じる上で、また、女性として歌ったり踊ったりする上で、何か参考にしたものはありますか?

木津 香さんに言われたのは「ビバリーヒルズ高校白書」。あと、僕は「プラダを着た悪魔」も見ました。ココは田舎から都会に憧れでやってきた女の子なので近いかなと思って。まぁ、こんなに派手な人たちは出てこなかったですけど(笑)。

持田 俺は、ビビがチアガールの役なので、海外のチアガールの映像も見ました。それこそ見せ方とか勉強したくて。やっぱり体の作り方が違うので難しいんですけど、参考にしています。

木津 ただ……やっぱり演じているのは日本男児。そのギャップの面白さを活かせたらいいんじゃないかなと思っているんです。ブロードウェイでこの作品を演じるのも面白いと思うけど、「私たちは日本でこれやるかんね!」っていう感じでできたらすごいカッコいいんじゃないかなって。そこが面白いところもでもあるし。

──あくまでも日本人男性が演じることに意味があると。

木津 そうです。

持田 俺らだから出せる味が絶対にあると思うので。

木津 それにビジュアルをスタッフさんが素敵にしてくださったので、女装には見えないんですよ。正直、最初は女装した男子みたいに見えちゃうんじゃないかっていう心配もあったんです。僕たちは男としてお芝居をしている姿をずっと見せてきていたので。だけど、実際にやってみると全然そんなことない。

持田 本当にガールズトークって感じですよね。

木津 うん! だから、ただただ楽しみたいという気持ちだけで観に来てほしいですね。普段の生活やお仕事、学校生活だけだと疲れちゃうじゃないですか。だからふらっと「2時間散歩しに行こう〜」みたいな気分で観に来てもらえれば、観終わったあと「楽しかったな〜」って思えると思います。

持田 家でゴロゴロスマホを見て2時間つぶすんだったら、これ観に来たほうが楽しいと思います。

──最後に。NEOWNは推し活オタ活推進メディアなので、お二人が偏愛しているもの、もしくは最近特に“推している”ものやことを教えてください。

持田 最近はあまりできていないんですけど、ポーカーが好きで。勉強中ですけど、海外の大会に出たりもしています。

木津 そうなんだ! 俺は何だろうな……あ、でも最近、美容にちょっとハマっているかも。

──「Multi-Unit Apartment」で女性を演じることをきっかけに始めたんですか?

木津 いや、これが決まるちょっと前くらいからですね。今までは化粧水をパシャパシャして終わりだったんですけど、クリームを塗ったり、ビタミンが入っている美容液を使ってみたり。肌のケアを考えるのが楽しくなってきました。

持田 へぇ!

木津 持田、今何歳だっけ?

持田 26歳になりました。

木津 26歳はまだ化粧水パシャパシャでいいのよ。28ともなると、クリームが必要になるの。もういい歳だから!

──まさにガールズトークのようですね!

木津・持田 あはは(笑)。

Text and interviews by Chie Kobayashi
Photo: Takahiro Kikuchi
Hair and makeup: Miri Kitazaki

Performance Summary

Multi-Unit Apartment

日程・会場:
2025年8月1日(金)〜8月11日(月・祝) 品川プリンスホテル クラブeX

Performances:
Coco: Tsubasa Kizu
Bibi: Yusei Mochida
Angel: SHIN
Ava: Ryutaro Maeda
Hannah: Imperial Ki
Lillian: Hara Takakazu
Zoe: Kaita Fukushima
Isabella: Ryosuke Kato
Oscar: Ikumi Isaka

<Cupid’s>
三瓶賢人(DIAMOND☆DOGS Team Novel)、Shunta Tanase
Daicho、ToLa、内藤将大
橋本有一郎、藤村リュウト、Ryoma

Official websitehttps://multi-unit-apartment.com/
【公式X(旧Twitter)】@MU_Apartment