センチミリメンタル、初のワールドツアー『Centimillimental WORLD TOUR 2025-2026 “Cafuné”』の日本公演が、3月10日、横浜・KT Zepp Yokohamaで開催された。

遡れば昨年11月。国内6都市を巡ったツアー『センチミリメンタル LIVE TOUR 2025 “カフネ”』の最終日を同会場で迎えたセンチミリメンタルは、ファンと「いってきます」「いってらっしゃい」と言葉を交わし、ワールドツアーに出発した。その後、上海、広州、ソウル、マニラ、チリ、メキシコシティで計8公演のワンマンライブを開催。特にチリとメキシコでは、チケット即完を受けて設けられた追加公演も即完となり、熱烈な歓迎を受けた。

Photo by 山川 哲矢

ワールドツアーは今後も続くが、束の間の帰国として、センチミリメンタルは横浜に降り立った。1曲目は、国内ツアーと同様、センチミリメンタルの鍵盤弾き語りによる「君想う夜」。しかし今回のツアーでは即興の弾き語りが追加され、今の胸の内が歌われた。届けたいという想いと、それでも言葉が追いつかないという葛藤。山積みの想いは解かないまま結んでしまう――それがこの夜の、最初の告白だった。

2曲目は「ツキアカリ」。青色の光で空間が彩られるなか、センチミリメンタルの背後のライトのみがオレンジ色。一筋の光が、月明かりのように静かに差していた。センチミリメンタルが鋭い発声とともに歌い始めると、やがてサポートメンバーの村田隆嘉(Gt)、永見和也(Ba)、ナガシマタカト(Dr)も合流。骨太なバンドサウンドが、フロアを巻き込みながら鳴り響いた。

フロアからの歓声を受けて、「カフネワールドツアー、横浜に帰ってきました! 盛り上がる準備はできてますか?」と観客に尋ねたセンチミリメンタル。バンドの演奏が続くなか、観客は自然と手拍子を合わせ、センチミリメンタルも軽やかなタッチで鍵盤を弾く。そうして「星のあいだ」がスタート。きらめくサウンドとミラーボールが場内に星空を作り出すなか、永見がセンチミリメンタルの元に駆け寄り、楽しそうに音を重ねる。村田は前に出てソロを披露し、ナガシマはパワフルなドラムでバンド全体を押し上げる。ステージの熱はフロアへと伝播し、観客も力強く腕を突き上げた。

Photo by 山川 哲矢

MCに入ると、「Muchas gracias!」と挨拶したセンチミリメンタル。きょとんとする観客に向けて「すみません、ラテンアメリカ戻りなので(笑)」とユーモアを交えながら「ありがとう」という意味だと説明。さらに「“行くぞ”は“Vamos!”って言うらしい」と補足すると、フロアのあちこちから「Vamos!」と声が上がった。そして、センチミリメンタルの“Ti amoソング”として「スーパーウルトラ I LOVE YOU」が届けられた。

赤いギブソンを構え、Aadd9のコードを鳴らしてから歌い始めた「夜が明ける」。同じく夜明けを歌った「トワイライト・ナイト」。同曲の最後に歌われる〈光になりたい〉という言葉との繋がりを感じさせる「光の中から伝えたいこと」。物語性のあるセットリストを届けながら、センチミリメンタルは「いやー、楽しいですね」と笑った。そして、海外公演特有の楽しさを「異文化交流」「全てがファンタジー」と表現しつつも、「やっぱり日本はいいね」としみじみ語った。そこから「SNSで見てる人もいるでしょ? 海外の人たち、めっちゃ声出てますよね。負けてらんないですよね? 一緒に歌いませんか?」という提案へと繋げる。続く「ひとりごと」では、センチミリメンタルの「歌える?せーの!」を合図に観客が「ララララ」と声を合わせ、温かな空気に包まれた。

ライブを観ていて強く感じたのは、海外での経験を経て、センチミリメンタルがプレイヤーとして一回りタフになったということだ。「リハから感動しっぱなし。日本語が通じるんですよ(笑)」というMCの言葉が示す通り、毎公演異なる環境に飛び込み、ゼロから場を作り続けた日々は、確実に彼を、そしてバンド全体を鍛えた。以前よりもライブアレンジや遊びの要素が増え、歌や演奏の在りようが自由になっている。それによって、ある瞬間に全てを注ぎ込むような、集中の密度が増した。心の最も深いところから届けられる歌の数々。センチミリメンタルが曲名を告げるたびに、曲が終わるたびに、フロアから上がる歓声のテンションは高い。きっと観客も、「今日のセンチミリメンタルは一味違う」と感じていたのだろう。

Photo by 山川 哲矢

そしてこの夜、鍵盤弾き語りという最もシンプルな編成で、聴く人の最も深いところに届けられたのが「まるつけ」だった。一定のテンポに収まらず、自らの時間で揺れながら歌われるメロディは、心の奥底から滲み出る悲しみそのものだった。光のある場所へ浮かび上がることもできず、どうにか押し出される言葉の一つひとつに、胸を締めつけられた。続く「冬のはなし」はバンド編成で披露。絶え間ないギタータッピングとともにバンドが疾走するなか、それでも歌だけは残雪のように、まだ悲しみの中に佇んでいた。バンドの演奏が止んだあと、センチミリメンタルが鍵盤で奏でたのは、「冬のはなし」と「海へ」を繋ぐ共通のメロディ。深海を思わせるライティングのなかで歌われた「海へ」では、バンドサウンドが一瞬鳴り止み、〈覚えていて〉という叫びだけが残るシーンが鮮烈だった。

Photo by 山川 哲矢

悲しみの中で生きる人の姿を3曲で描ききったあと、「ゆう」で観客に〈生きていてくれてありがとう〉と歌ったセンチミリメンタル。日本のオーディエンスはバラードを静かに受け止めてくれるが、「まるつけ」は海外では大合唱が起きて新鮮だった――という話のあと、センチミリメンタルは、この日のライブの裏側にある個人的な想いを明かした。デビューから共に歩んできたディレクターが、この春チームを離れる。その人に届けたい気持ちが、歌に自然とこもったのだという。その衝動のまま、メジャーデビュー曲「キヅアト」を含むアッパーチューンを連続で届け、ライブは終盤に差し掛かった。

そのディレクターとは、ワールドツアー中に朝食をともにする機会もあったが、今でなくてもいい話ばかりしてしまい、肝心なことは伝えられなかったという。その時のことを「いやー、悔やまれるよね」と振り返ったセンチミリメンタルは、こう言葉を続けた。

「自分に対して“そういうところな”と思いつつ、“だから音楽やってるんだろうな”と。いつから、別れがこんなに下手くそになったんだろうと思います。大人になるほど、心の真ん中にあることをどうして言葉にできなくなるんでしょう。みんなの中にもそういう人はいると思うけど、僕もそう。代わりに僕が歌に込めるので、届いたらいいなと思います」

本編のラストを飾った楽曲「愛の証明」は、そんな言葉とともに届けられた。インディーズ時代に生まれたこの曲では、大切な人を繋ぎ留められなかった後悔が歌われており、先ほどのMCと重なる。センチミリメンタルの本質はずっと変わっていない。悲しみに打ちひしがれ、後悔に沈み、何度も胸を潰しながらも、誰かに愛を手渡すように歌い続ける。そうやって今までも、これからも、人生を歩んでいくのだろう。そんななか、〈最期の最期に 君が思い出す/本当に大事な記憶の中にさ〉に続く歌詞は〈どうか たったひとつでいいから/僕の曲が残ってますように〉と変えられた。素直に引き留めることや、本心を言葉にすることができない自分でも、音楽で、誰かの心に残り続けたいという切なる願いだった。

Photo by 山川 哲矢

アンコールでは、J SPORTS STADIUM2026 野球中継テーマソングとして現在オンエア中の新曲「ハイライト」が3月27日に配信リリースされることが発表され、この日が初披露の舞台となった。変わりゆく景色の中を地道に歩み続けるようなアッパーチューンを届けたあと、センチミリメンタルが「いかがだったでしょうか?」と尋ねると、フロアに拍手や歓声が広がる。その光景をゆっくりと見渡しながら「また会えるからさ、また会いに来てよ」と伝えたセンチミリメンタルは、ライブのラストにこう語った。

「本当に、人生にはいろいろなことがありますね。やっぱり、さよならは避けて通れないなと。でもここにいる全員は音楽で結ばれたので、またきっと僕らは出会えます。なので、今日この日を、僕の音楽を忘れないでほしいなと思います。今日は本当にありがとうございました」

ラストを飾ったのは「結言」だ。〈さよならは仕方ない/避けては通れない〉という歌詞は、先ほどのMCで引用されたフレーズ。センチミリメンタルは腹の底から、自らの体内に響く低音でその言葉を歌った。そして〈だからこそぼくらは/心のなかでは/ずっと結ばれていよう〉という結論に辿り着いたあと、感情を解き放つようなロングトーンが会場に響く。桜色の照明がステージを染めるなか、センチミリメンタルは天を仰ぎ、アウトロに入ってもなお歌を口ずさみ続けていた。

全曲の演奏が終わると、「もう一つ発表がございまして」と、10月から初のホールツアー『センチミリメンタル LIVE TOUR 2026』を開催することが発表された。「またみんなに会えることを楽しみにしてます」——その言葉が、この夜のさよならを次の約束に変えた。

<文:蜂須賀ちなみ>

▼Live Information

Centimillimental WORLD TOUR 2025-2026 “Cafuné

■日程・会場
2025年11月21日(金)上海・瓦肆 VAS ear
2025年11月22日(土)広州・SD LIVEHOUSE
2025年11月29日(土)マニラ・Paco Arena Events and Sports Center
2025年12月6日(土)ソウル・musinsa garage
2026年2月26日(木)チリ サンティアゴ・Teatro Cariola
2026年2月27日(金)チリ サンティアゴ・Teatro Cariola
2026年3月1日(日)メキシコシティ・La Maraka
2026年3月2日(月)メキシコシティ・La Maraka
2026年3月10日(火)横浜・KT Zepp Yokohama
2026年6月28日(日)台北・Zepp New Taipei

■セットリスト(3月10日(火) 横浜・KT Zepp Yokohama)
01.君想う夜
02.ツキアカリ
03.星のあいだ
04.スーパーウルトラ I LOVE YOU
05.夜が明ける
06.トワイライト・ナイト
07.光の中から伝えたいこと
08.ひとりごと
09.まるつけ
10.冬のはなし
11.海へ
12.ゆう
13.ストレイト
14.パレイド
15.キヅアト
16.僕らだけの主題歌
17.愛の証明

[ENCORE]
01.星が降る
02.ハイライト
03.結言

▼最新曲情報

センチミリメンタル「ハイライト」
(作詞・作曲・編曲:温詞)

*J SPORTS STADIUM2026 野球中継テーマソング

3月27日(金)配信リリース

ダウンロード・ストリーミング ▶ https://erj.lnk.to/GmGwI2

▼ Tour Information

センチミリメンタル LIVE TOUR 2026

■2026年10月2日(金)大阪・NHK大阪ホール
開場:17:30 / 開演:18:30

■2026年10月4日(日)福岡・SAWARAPIA 大ホール
開場:16:30 / 開演:17:30

■2026年10月11日(日)宮城・電力ホール
開場:16:30 / 開演:17:30

■2026年10月18日(日)愛知・Niterra日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
Doors open: 17:00 / Concert begins: 18:00

■2026年10月25日(日)広島・広島JMSアステールプラザ中ホール
開場:16:30 / 開演:17:30

■2026年11月20日(金)東京・Kanadevia Hall
開場:17:30 / 開演:18:30

Fees
指定席:¥7,900(税込)
No admission for preschool children.
Drinks are not included.

オフィシャルFC 「Atelier C」会員先行
受付期間︓3/10(火)21:00~3/22(日)23:59

Concert Information ▶ https://www.cenmilli.com/