連載開始からわずか数年でカルチャーの中心に駆け上がった『WIND BREAKER』が、ついに実写映画『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』としてスクリーンへ。孤独だった桜遥が<防風鈴>の仲間と出会い、絆を手にしながら成長していく物語を、萩原健太郎監督と脚本を務めた政池洋佑が、実写ならではの熱量で新たに息づかせた。水上恒司、木戸大聖、綱啓永、JUNON、中沢元紀、山下幸輝、濱尾ノリタカ、上杉柊平ら“今を走る”キャストが集結し、公開前からすでに“注目度MAX”の作品となっている。

©2025「WIND BREAKER」製作委員会

その期待が最高潮に達する中で行われた完成披露試写会は、まさに“WIND BREAKERらしさ”が炸裂した一夜となった。防風鈴カラーに染まった会場の階段には、水上恒司、木戸大聖、綱啓永、中沢元紀、上杉柊平、八木莉可子、そして<獅子頭連>の山下幸輝、濱尾ノリタカ、萩原健太郎監督まで主要メンバーが次々と姿を見せた。特別な1日を全身で楽しむように、ユーモアや笑顔を交えながら作品への想いを語り、会場の熱は一気に高まっていった。

完成披露を迎えた今の気持ちを問われると、主人公・桜遥を演じた水上は「令和のヤンキー映画として“観るに値する作品”にするため、キャスト・スタッフで何度も議論を重ねてきました。これからどう広がっていくのか、ワクワクと緊張が半々です」と率直に語る。続けて、桜を真っ先に慕う楡井秋彦を演じた木戸は「撮影後もスタッフの皆さんが時間をかけて仕上げてくださった。その積み重ねが形となり、今日こうしてお客様の前で上映できることが嬉しいです」と噛みしめるように述べた。

©2025「WIND BREAKER」製作委員会

「喫茶ポトス」で桜たちを見守る橘ことはを演じた八木は「原作へのリスペクトを大事にしつつ、映画版ならではの新しい良さを感じてもらえたら」と述べ、萩原監督も「原作は本当にたくさんの方に愛されている作品。その原作ファンの方々にどう受け取ってもらえるのかが、とても楽しみです」と笑顔を見せた。

“街を守る不良”という新しい不良像をどう演じたかという問いに、独特のケンカスタイルを持つ蘇枋隼飛役の綱は「『WIND BREAKER』はアクションが大きな魅力のひとつだと思っていますが、ただの“殺陣”にならないように意識しました。僕の場合は拳というより、掌や体捌きが多いスタイルなので、その一つひとつに感情を乗せることを大事にしました」と、蘇枋らしいアクション設計を語る。

そして、武闘派・柊登馬を演じた中沢は「柊は武闘派なので、一発一発の重さを感じてもらえるように拳の“重み”を意識しました。3年生として1年生たちをまとめる立場でもあるので、その責任感も同時に意識しながら演じました」と続けた。

©2025「WIND BREAKER」製作委員会

風鈴高校の“てっぺん”梅宮一を演じる上杉は「僕の役は、少し外側からみんなを見ていなきゃいけないポジションでした。その中で彼らをどう導いてあげられるか、どんな距離感で接していけるかをプライベートの時間も含めずっと考えていました」と総代としての視点を明かし、「僕だけ30代のおじさんなので、ちょっと気にしてました(笑)」とこぼすと、水上が上杉の意外な一面をいじり、客席には温かな笑いが広がった。

<獅子頭連>の頭取・兎耳山丁子を演じた山下は、兎耳山を「笑っているのに目が笑っていない」という原作の印象からつくり、「未成年ゆえの不安や揺らぎも意識した」と語る。兎耳山に忠実なナンバー2の十亀条を演じた濱尾は「ナンバー2の苦悩」を監督と丁寧に掘り下げ、「上下に挟まれる立場の感情を繊細に出すことを心がけた」と話した。アクションでは水上のサポートに助けられたという。「思い切り当てていい」と言われた直後に本当に腹に当てられ「めちゃくちゃ痛かった(笑)」という裏話も飛び出し、敵味方を超えたチームワークを感じさせた。

©2025「WIND BREAKER」製作委員会

最後に、水上が「この映画は“人の痛み”や“弱さ”を大事にしながら作り上げたアクション映画です。爽やかなアクションシーンもたくさんありますが、こう見てほしい、とか、こう感じてほしい、ということはありません。感じるままに、気楽に見ていただけたら嬉しいです」とメッセージを送り、大きな拍手の中で第一部は幕を閉じた。

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本編上映前に行われた第二部の舞台挨拶は、キャストたちの「完成した映画を観ての感想」からスタート。

©2025「WIND BREAKER」製作委員会

水上は「令和に“喧嘩する不良たち”の物語を届ける意味をずっと考えていた」と語り、「完成した映画を観て、ちゃんと芯が通った作品になっていたので報われた気持ちになりました」と実感を込める。続く木戸は「“ヤンキーもの”という固定観念が観終わると少し変わると思います」と語り、「アクションだけでなく、人情や関係性がしっかり描かれている作品です」と魅力を伝える。八木は「原作・アニメの大ファンとして現場に入りましたが、映画版は原作が持つ素敵なメッセージはそのままにリアルなアクションの質感が加わって、違った視点からよさが引き出されている」と語った。

原作ファンの綱も「いろいろな想いがありましたが、期待以上のものができたと思います。3次元だからこそ表現できる心情がしっかり込められている」と語り、中沢は「観終わったあとスッキリした感覚が残った」と振り返る。山下は「美術の作り込みから引き込まれて、スケールの大きなアクションに圧倒されました」と本作の見どころも伝え、濱尾は「この映画は“人と向き合う”ことが描かれていると感じた。誰かに頼ることの怖さなど、自分ごととして観られる作品」と続けた。

そして上杉は、撮影前に監督と交わした言葉を明かす。「“殴りたくなる映画”ではなく、“身近な誰かを守りたくなる映画”にしたかった」と語り、「強さよりも“答えのない弱さ”を照らしてくれる作品になった」と胸を張る。

萩原監督は、編集を重ねながら「観るたびに感情移入するキャラクターが変わっていった」と振り返り、「喧嘩の経験があってもなくても、それぞれ好きになる人物が見つかるはず」と語った。

トークは物語の核となる桜と楡井の関係へ。水上は「もし桜が梅宮のような“てっぺん”になる未来があるなら、隣にいるのは楡井だと思っていた」と語り、木戸との芝居を「丁寧に大事につくった」と振り返る。木戸も「楡井として桜を知っていくことと、自分が水上恒司という俳優を知っていくことがリンクしていた」と明かし、「あえて全部を知りすぎず、その瞬間の水上恒司と向き合った」と語った。二人の信頼関係が滲み出るやりとりとなった。

©2025「WIND BREAKER」製作委員会

桜たちを日々見守る役を演じた八木は、水上を「周りへの気遣いの人」と表現。共演者に必ず声をかけ、監督やカメラマンに意見を伝える際も丁寧に前置きする姿に触れ、「自分の芝居だけでなく現場全体を見ている。そのきめ細かい気配りにずっとリスペクトしていました」と語った。

後半はアクションの話題に。綱は「原作ではタイマンが多いですが、映画では乱闘のような形もあって、だからこそ関係値がより深く見える瞬間がある。今作ならではの魅力になっていると思います」と語る。中沢は「風が強くて、相手のセリフも聞こえないくらいの中でやっていました」と振り返り、「ワンテンポずれたら大怪我につながるシーンを、何日もかけて丁寧に撮っていった。アクションは魅力のひとつ」と胸を張った。

梅宮と兎耳山の“大将戦”では、山下が「大きなアクションは初めてだったので最初は上杉さんに遠慮していたが、“もっと預けていい”と思えた瞬間から一気に良くなった」と語り、上杉も「“もっと来て”“もっと行く”の応酬で仕上げたシーン。山下くんの熱に自分も引き上げられた」と応じた。

“副将戦”では、下駄やロングヘアという十亀の特徴に苦戦しつつも、濱尾が「アクション経験の少ない自分を水上くんが心身ともに引っ張ってくれた」と振り返る。相談し合うところから始まり、最後は言葉少なくとも気持ちが通じ合う関係へ深まっていったと語った。

約2か月の沖縄ロケはまるで“合宿”のようで、オフの日も共に過ごしたというエピソードが次々と飛び出す。水上が上杉の“可愛い一面”をいじり倒し、敵味方を超えた距離の近さが垣間見えた。

終盤には、キャッチコピー「仲間とともに守り抜く」にちなんで「自分が守り抜きたいもの」をフリップで発表する一幕も。エモーション(感情)、こたつ、好奇心、健康、体調管理、家族、仲間……と答えはさまざまだが、いずれも“自分の心”と“大切な人”にまつわるもので、会場には温かな笑いと共感が広がった。

©2025「WIND BREAKER」製作委員会
©2025「WIND BREAKER」製作委員会
©2025「WIND BREAKER」製作委員会
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ラストの挨拶で水上は、「アクションはひとつの技術であり表現ですが、その中には“なぜ拳を振るうのか”“何を守りたいのか”“何を示したいのか”という、人の弱さや人情がある。この映画は、そういったものを大事に作り上げた作品です。どう感じるかは皆さんの自由。いろんな感情を持って、広がっていったら嬉しいです」と締めくくった。

その言葉に、客席からは大きな拍手が鳴り響く。最後は客席とキャスト・監督が一体となってのコールをおこない、第二部の舞台挨拶は熱気と多幸感に包まれたまま幕を閉じた。

Photo by Takahiro Kikuchi

取材・文 = yabesaya

映画『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』
2025年12月5日(金)公開
<出演>
水上恒司 木戸大聖 八木莉可子
綱啓永 JUNON(BE:FIRST) 中沢元紀 曽田陵介 萩原護 髙橋里恩
山下幸輝 濱尾ノリタカ 上杉柊平

原作:にいさとる『WIND BREAKER』(講談社「マガジンポケット」連載)
監督:萩原健太郎
脚本:政池洋佑
Distributor: Warner Bros. Pictures
Official site:https://wwws.warnerbros.co.jp/wb-movie/
Official X:https://x.com/winbre_movie

Ⓒにいさとる/講談社 Ⓒ2025「WIND BREAKER」製作委員会