NEOWN編集部が「今こそ観たい」新作映画をご紹介。
話題作から気になる注目作まで、4作品をセレクトしました。
デジタルリマスター版の上映も盛り上がっている今、名作をスクリーンで楽しむチャンスです。

監督:アシュレイ・セイビン、デヴィッド・レッドモン

出演:キム・ヨンマン、ショーン・プライス・ウィリアムズ、アレックス・ロス・ペリー、ディエゴ・ムラーカ、エンリコ・ティロッタ、ヴィットリオ・ズカルビ、ジュゼッペ・ジャンマリナーロ、レオパルド・ファルコ、ドミニコ・ヴェヌーティ ほか

配給: ラビットハウス=ミュート

公式サイト:https://kims-video.com/

(C)Carnivalesque Films 2023

ニューヨークの名物レンタル店「キムズビデオ」は、5万5000本の貴重な映画コレクションで人気を集めたが、2008年に閉店。オーナーは会員利用継続を条件にシチリア島へ譲渡するが、数年後それらは湿った倉庫で放置されていた。元会員で監督のデイヴィッドは救出を決意し、警察や市長、マフィアを追い、カーニバルの夜に映画撮影を装い、映画の“精霊”を召喚して奪還作戦に挑む。

NYの伝説的レンタル店「キムズビデオ」が遺した5万5千本のコレクションをめぐる、愛と狂気の“奪還作戦”を描く痛快ドキュメンタリー。監督は元会員のデヴィッド・レッドモンとアシュリー・サビーナ。棚を埋め尽くすVHSやDVDに宿る時代の匂い、映画を選ぶ手の高揚感――そんなレンタル文化の記憶が、予測不能の展開とともにスクリーンに映し出される。映画への飽くなき情熱がほとばしり、観る者を巻き込む熱量にあふれた一本。

監督:三木聡

出演:上野樹里、蒼井優、岩松了、ふせえり、要潤、松重豊、村松利史、森下能幸、緋田康人、温水洋一、松岡俊介、水橋研二、岡本信人、嶋田久作、伊武雅刀 ほか

配給:アンプラグド

公式サイト:https://unpfilm.com/kame/

夫が海外赴任中の平凡な主婦・スズメは、ペットの亀だけを話し相手に単調な日々を過ごしていた。ある日「スパイ募集」の貼り紙を見つけ、平凡な日常から抜け出せると期待して応募。面接で“平凡さこそ適任”と絶賛され採用されるが、任務は「目立たず静かに暮らす」ことだった。やがて彼女は日常の裏側に目を向け始め、奇妙な人々や出来事に遭遇。次第に人目を引く存在となっていく――。

2005年公開の三木聡監督による“脱力系”コメディが、20年ぶりにデジタルリマスター版でスクリーンに帰還!平凡な主婦・スズメが突如始まる不思議な日常に巻き込まれていくさまを、上野樹里がユーモラスかつ繊細に演じる。共演に蒼井優、岩松了、ふせえり、要潤ら実力派が集結。「あずきパンダちゃん」のユーモラスなやり取りなど、ゆるいテンポとオフビートな笑いがじわじわ広がり、ときに心理を突くセリフや場面が観る者を少し哲学的な余韻へと誘う。さらに主題歌・レミオロメンの「南風」が世界観を軽やかに後押しし、観終わった後にも温かな響きが心に残る。

監督:山下敦弘

出演:ペ・ドゥナ、前田亜季、香椎由宇、関根史織 (Base Ball Bear)、三村恭代、湯川潮音、山崎優子(新月灯花/RABIRABI)、甲本雅裕、松山ケンイチ、小林且弥 ほか

配給:ビターズ・エンド

公式サイト:https://www.bitters.co.jp/linda4k/

(C)「リンダリンダリンダ」パートナーズ

地方都市の芝崎高校。文化祭前日に、恵・響子・望のバンドはギターの骨折とボーカル脱退で崩壊寸前に。そんな中、ブルーハーツの「リンダ リンダ」を耳にし、3人でも演奏できると奮起。偶然通りかかった韓国からの留学生ソンをボーカルに迎え、急造バンドを結成する。4人は文化祭本番に向け猛練習を重ねていくが――。

山下敦弘監督が2005年に手がけた青春映画が、20年ぶりに4Kリマスター版として再びスクリーンに!文化祭を前に集まった女子高生たちが、ペ・ドゥナ演じる韓国人留学生ソンをボーカルに迎え、ブルーハーツの「リンダ リンダ」に挑む。前田亜季、香椎由宇、関根史織の個性豊かな演技と、ジェームズ・イハの音楽が響き合い、瑞々しい時間が観客を包み込む。真っ直ぐで不器用なエネルギーと、儚さゆえの輝きは何度観ても色褪せず、そのたび新鮮な高揚を与えてくれる。誰もが自分の青春を重ね、胸を熱くさせられる特別な一本。

監督:池田千尋

出演:吉岡里帆、水上恒司、柳俊太郎、梅澤美波、曾少宗、花瀬琴音、諏訪太朗、三島ゆたか、サヘル・ローズ、関口メンディー、山中崇、嶋田久作、竜星涼 ほか

配給:バンダイナムコフィルムワークス

公式サイト:https://kowloongr.jp/movie/index.html

九龍城砦の不動産屋で働く令子は、先輩・工藤に恋心を抱きつつ距離を縮められずにいた。それでも靴屋の楊明やバイト好きの小黒ら仲間と過ごす日々に満足していたが、ある日、工藤の恋人と間違われ、さらに彼と“自分そっくり”の女性が写る写真を発見。失われた記憶ともう一人の自分、九龍の街に隠された謎が、過去と現在を揺さぶりながら恋と共に解き明かされていく。

眉月じゅん原作、池田千尋監督による、九龍城砦を舞台にした湿度を感じるミステリー・ラブロマンス。令子のクールな佇まいの奥にある揺らぎを繊細に表現する吉岡里帆と、工藤という人物の力強さと脆さを自然に体現し、観る者を引き込む水上恒司。二人の演技が交錯する瞬間に、確かな緊張感と秘密めいた影が立ちのぼる。過去と現在が交錯し、恋と謎が絡み合う関係性のなかで、信じることや自分をどう捉えるかを問いかけてくる、余韻深い作品。

8月公開のおすすめ映画を4作品ご紹介しました。
来月も心動かされる、気になる映画をお届けします。どうぞお楽しみに!
text:yabesaya