仲 万美がプロデュースを手がける舞台、「女郎蜘蛛」が2月19日から東京・品川プリンスホテル クラブeXで上演される。中屋敷法仁が脚本・演出を担当する本作は、高橋お伝や花井お梅といった実在した女性犯罪者をモチーフにした“毒婦”の物語を描く。仲のほか、蘭舞ゆう、太田夢莉、安川摩吏紗、西葉瑞希、なかねかな、岩佐美咲、永田紗茅、一篠思瑠、平井沙弥が出演する。仲曰くそつなくこなせてしまう顔ぶれだからこそ、彼女たちに火をつける作品にしたいそう。そんな本作の開幕を前に、プロデューサーであり高橋お伝役の仲と、花井お梅役の太田に、お互いの印象や「女郎蜘蛛」について語り合ってもらった。

──取材が始まる前、控え室からお二人の楽しげな笑い声が聞こえてきましたが、お二人のご関係性について、詳しく伺えますでしょうか?

太田夢莉 会うの、今日で何回目でしたっけ?

仲 万美 3回目くらい?

──えっ、そうだったんですか! よく遊ぶくらい仲良しなのかと思いました。

 あはは(笑)。実はまだ全然なんです。

太田 私は万美さんのことをずっと前から知っていたし、ずっとお会いしてみたいと思っていて。というのも、共通の知り合いが「今まで会った人の中で一番お酒が強い人」と言っていたんですが、その方もすごくお酒が強いので、さらに上を行く方がいる、しかも美人だなんて、どんな人なんだろうと(笑)。それで、その共通の知り合いとご飯を食べているときに、万美さんにテレビ電話をかけたのが最初のコンタクトです。それから1年くらい経って「女郎蜘蛛」のお話をいただいて、プロデューサーの名前を見たら「仲 万美」と書いてあったので「ようやくお仕事でご一緒させていただける!」と思いました。

──テレビ電話は、お仕事のお話ではなかったんですね。

太田 はい、全然。共通の知り合いとご飯を食べていたので、万美さんも来てくれないかなと思って電話したんです。

 「来てくださいよ〜」って感じで。面白かったです。まぁ行かなかったんですけど(笑)。

──お仕事で一緒になるのは今回が初めてということですが、現時点で持っているお互いの俳優としての印象はどのようなものでしょうか?

 自分の周りに元々グループで活動していて今役者をやられている方はたくさんいらっしゃいますが、みんなガッツがあるんですよね。10代の頃からグループ活動を経験していて、そのときにやりたかったことを今やっている感じがして。きっと夢莉もそうなのかなと思いながら過去の出演作品を見て、「この子、作品によって表情が変わるな」という印象を持ちました。

太田 へぇ!

 すごく器用だなと思いました。器用にいろいろな役をやっているからこそ、「女郎蜘蛛」ではどんなふうに見せてくれるんだろうと、ワクワクしています。

太田 なんていい人なんでしょう!(笑) 恥ずかしいですけど、過去の出演作品を見てくださったり、そこまで知ろうとしていただけたことがうれしいです。ありがとうございます。万美さんは、実際に会ってみると、個性的ですごく魅力的なうえに、まわりの人のこともすごく考えてくださっている方で。みんな、この魅力にハマっているんだろうなと思いました。

──そんなお二人が共演する舞台、「女郎蜘蛛」は万美さんのひさしぶりのプロデュース舞台となりますが、本作を手がけようと思った理由を教えてください。

 数々の舞台を経験する中で、自分のやりたいことを実現することの難しさも実感してきました。だからこそ、自分のやりたいことを形にして評価していただくためには、自ら手がける「プロデュース舞台」に再挑戦するしかないと、ずっと心に決めていました。期間が空いてしまったのは、いろいろな俳優さんの活躍を見ながら「この方と一緒にやるならこういうことがしたいな」と構想を膨らませていたからなんです。じっくりとプランを練っていたら、いつの間にか月日が経っていたという感じです。

──逆に言うと、そういうものが整ったタイミングが今だったと。

 そうですね。整いました!

──作品の着想はどこからだったのでしょうか?

 自分がどういうものを作りたいかと考えたときに、強い女性たちを集めたいと思ったんです。しかもただ強いだけじゃなく、身も心も全部ボロボロで傷だらけでも、強い女性たちを描いた作品をやりたかった。

 自分もいっぱい傷ついてきたからこそ今の自分がいるわけだし、傷ついたことで学んできた人生だったので。中屋敷さん(本作の脚本・演出を手がける中屋敷法仁)にお話したら、実在した女性の重犯罪者“毒婦”というテーマを提案してくださって、「女郎蜘蛛」を書いていただきました。

──中屋敷さんから「女郎蜘蛛」のアイデアを聞いたときはどう思いましたか?

 まさか犯罪者や明治時代の話になるなんて思っていなかったので、「斜め上から来た!」と思いました。でもこの作品に登場する高橋お伝や雷お新は実在した人物で、史実も残っている。だけど、中にはその史実が本当かどうかわからないという人もいて。その“本当か嘘かわからない”というのは現代にも通ずるものだと思うんです。当時の瓦版、今で言うSNSで見る情報だけを信じてはいけないよ、と伝えたいと思います。舞台では美しい世界をお見せしますが、「これも全部嘘かもしれない」みたいな。白黒はっきりさせなくてもいいことってあるじゃないですか。

太田 (大きく頷きながら)本当にそう!

 すごい頷くじゃん(笑)。そういう“見ているものが全てではないよ”というメッセージを込めて作り上げていきたいと思っています。

──出演する方々にも刺さるテーマだということですね。

 そうですね。劇中に登場する犯罪者たちに、共感してほしいわけではないんです。ただ、彼女たちがどう生き、何に苦しみ、どう死んでいったのか。それを描いた上で、「でも、これらすべてが嘘かもしれない」と。あえて明確な答えを出さず、観客の皆さんにはモヤモヤしたまま帰ってほしいんです。「あれはどういうことだったんだろう」と、劇場を出た後も妄想を膨らませてほしい。

──観終わったあとも考えさせられる作品になりそうですね。太田さんは本作のオファーを受けた時はどう思いましたか? 

太田 原作に頼らずに役者と演出の力で勝負する、 しかも出演者は女性のみと聞いて、その挑戦にすごく惹かれましたし、 面白そうだなと思いました。私自身も、俳優として思うようにいかないなと感じる時期もありましたが、最近は少しずつステップアップできている感覚があって。ちょうどそのタイミングで今回のお話をいただいたので、人生の巡り合わせってすごいなと思いました。

──万美さんは高橋お伝、太田さんは花井お梅を演じますが、それぞれご自身が演じる人物を、どのような人物だと捉え、どんなふうに演じたいと、現時点で思っていますか?

 自分はまだ模索中ですね。調べてみても、はっきり書かれていないことが多いんですが、高橋お伝は亡くなったあとに有名になった人なんです。処刑で首を切られる直前に、「南無阿弥陀仏」と唱えたというお話があって。死に様がカッコいいですよね。そういった史実や逸話をヒントに、高橋お伝という人物と心の中で対話を重ねて、役を深めていきたいと思っています。

太田 花井お梅は、芸達者でヒステリックな人物だったようです。事件を起こした後に自らの経験をもとに芝居にしたんです。その生命力の強さや、器用な姿には惹かれるものがあります。 殺人の動機は身を守るためだったという説が有力ですが、もしかしたら全く別の理由があったのかもしれない。 そういうことを想像するのも面白いです。

──プロデューサーの万美さんとしては、太田さんにどんなことを期待しますか?

 花井お梅は自分の懺悔を舞台にしているんですよ。だから……どんな懺悔を見せてくれるんだろうな〜(と言いながら、太田に目をやる)。

太田 ヒィ!(笑)

 花井お梅の歌も用意しているので、それも楽しみです。さっき夢莉が言ったように、登場人物はみんなわからないことが多い。だから役者一人一人の力が必要になると思うんです。そのなかで夢莉はどこまでお梅を作り上げられるのか、どんなお梅を想像させてくれるのかなと、楽しみですね。

太田 圧が強い!(笑) 怖い!

 「怖い」とか言わないでよ(笑)。どんなときにヒステリックになるのか、その波はどんな感じなのか、懺悔しているときの声のトーンはどんなものなのか……全部にワクワクしています。でも夢莉は器用なイメージがあるので心配はしていないです。

太田 器用じゃないですよ。周りの皆さんがそう言ってくれるだけで。私は器用に思われたくて、なんともない顔をしているだけです!(笑)

 いやいや、そういってもたぶんそつなくこなせてしまうと思うので、そんな器用な夢莉をヒーヒー言わせたいですね。……って思っていたら、始まってもないのにもうヒーヒー言っていて(笑)。さすがに早いよ!

太田 いや、このあいだ事前稽古があったんですが、ひさしぶりにダンスの基礎をやっただけで筋肉痛になりましたから(笑)。グループ活動の時にやっていたダンスとはまた違うダンスだったので、もうヒーヒーしています。

──「女郎蜘蛛」を通して、ダンスも武器になるかもしれないですね。

太田 そうですね。これを機にダンスが武器になればいいなと思います。

 武器にさせます。つまり厳しくやるってことだからね!

太田 ヒィ!

──プロデューサーとしては、ご自身の作品に出演した俳優さんが、武器を増やしていってくれたらうれしいですよね。

 めちゃくちゃうれしいです。私、「楽しかったね」だけで終わるのは嫌なんです。みんなにいい意味で悲鳴を上げさせたい。皆さん舞台経験が豊富で、何でも器用にこなせてしまうからこそ、本気で挑んでほしい。やるからには、手応えのある現場にしたいんです。

太田 それは本当にそうですね。どうしても続けていくと、いつの間にか自分のスタイルが固まってしまいがちなので、そこにスパイスが加わりそうな予感です。

 すごい辛いスパイスだけどね(笑)。

──そのほか本作で特にこだわっている点、こだわりたいと思っている点を教えてください。

 みんな歌が上手です。

太田 ええ!? 私、上手じゃないですよ。

 いやいや、私、過去のライブ映像も見てるから!だから大丈夫! 本当に、今回のキャスティングでは“歌唱力が高い人”を重視しました。というのも、前回の作品はキャストのほとんどがダンサーだったので、歌に関してはすべて私が担当したんです。だから今回は、そこも重視してお声がけさせて頂きました。

太田 ……ヤバイヤバイヤバイヤバイ……。

 あはは!(笑)

──歌も含めて、「女郎蜘蛛」楽しみにしています。NEOWNは推し活オタ活推進メディアなので、最後に、お二人が今、推しているもの・ハマっているものを教えてください。

 自分はずっと「ONE PIECE」を推しています。家にはガラスケースの中にフィギュアを飾っていますし、一番くじがあったらラストワン賞が出るまで待ちます(笑)。

──アニメや漫画がお好きなことは、ご自身の表現に影響を与えていると思いますか?

 与えていると思います。よく「このアニメや漫画を舞台にするとしたら?」と考えているので、そういうものは自然とインスピレーションの元になっているんじゃないかなと思いますね。

太田 私は一点ものが好きで。高校生の頃から古着にハマり出して、よく下北沢や高円寺などに買いに行っています。古着じゃないものが着たくなるときもあるんですが、最近はまた古着の波が来ていて。今日着ているワンピースとベルトも古着です。

 えーっ、そうなんだ。形良くない? 古着だってわからなかった。

太田 サイズがシンデレラフィットしたんです! そういうものを見つけるのがすごく楽しくて、とにかく見漁っています。洋服だけじゃなくて、小物や家具もヴィンテージが好き。以前は、実用的でないものは買うのを控えていたんですが、自分が欲しているならその気持ちに従ってみようと思って買ってみたら、家にあるだけで心が穏やかになったので、買ってよかったなと思っています。

文・取材=小林千絵
写真=Takahiro Kikuchi

公演概要

【公演名】女郎蜘蛛
【公演日程・劇場】2026年2月19日(木)~2月23日(月・祝) 品川プリンスホテル クラブeX
【プロデュース】仲 万美
【脚本・演出】中屋敷法仁

【出演】
仲 万美 蘭舞ゆう 太⽥夢莉 安川摩吏紗
⻄葉瑞希 なかねかな 岩佐美咲 永⽥紗茅
⼀篠思瑠 平井沙弥

【チケット料金】
全席指定:8,500円(税込)
※未就学児入場不可

【チケット】
https://l-tike.com/jyorougumo / Lコード:33437
【公演・チケットに関するお問い合わせ】
Mitt:03-6265-3201(平日12:00~17:00)

【Official Web Site】
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@jyorougumo2026 #舞台女郎蜘蛛

【主催】「女郎蜘蛛」製作委員会
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