ASH DA HERO、最終日は SPYAIR と熱烈ツーマンでブチ上がり“GACHINKO”対バンツアー閉幕
ロックバンド・ASH DA HERO が4月から全国7会場に自分たちと所縁のある Nothing‘s Carved In Stone、ユアネス、SPARK!!SOUND!!SHOW!!、I Don’t Like Mondays.、仲村宗悟、FLOW を次々と迎え、ツーマンを繰り広げてきた対バンツアー<ASH DA HERO presents “GACHINKO” TOUR 2024>。そのツアーを6月16日(日)、東京・Zepp Shinjuku(TOKYO)に SPYAIR を迎えたファイナル公演で締めくくった。
かたや、新ボーカル・YOSUKE が加入後、今年になって映画『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』の主題歌「オレンジ」が大ヒット。全国&アジアツアーを終えて、再び勢いにのっている SPYAIR と、TV アニメ『ブルーロック』の「Judgement」に続き、今年公開された映画『劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-』の劇中歌となった新曲「Beast Mode」、「オクターヴ」を携えてツーマンツアーを開催してきた ASH DA HERO。アニメを通して、偶然にもブルー vs オレンジとなったツアー最終日。その対決のゆくえは…。
両者のファンでパンパンにうまった Zepp Shinjuku(TOKYO)。開演時刻を迎え、先にステージに現れたのはSPYAIR。UZ(Gt、Programming)、MOMIKEN(Ba)、KENTA(Dr)、サポートメンバーの tasuku(Gt)が舞台に登場すると、フロアから力強いクラップが巻き起こり、最後に YOSUKE(Vo)が加わり、ライブは「現状ディストラクション」で勢いよく幕開け。「ようこそ、SPYAIR のライブへ」と叫び、YOSUKE が挨拶を届けたあとはさっそく TV アニメ『ハイキュー!!』の第 1 期 OP テーマとなったヒット曲「イマジネーション」を投下してオーディエンスのシンガロングを誘発。KENTA のパワフルなドラムから「Rock’n Roll」を連投すると、YOSUKE がフロアを右、左、真ん中と分けて煽り、観客の一斉ジャンプでさらにテンションを高めていく。その後も「轍〜Wadachi〜」、「アイム・ア・ビリーバー」とアニメとタッグを組んだ歴代のヒット曲を惜しみなくプレイ。持ち前のダイナミックな楽曲、爽快に突き抜けていくバンドサウンドで、地下にあるライブハウスをどこまでも青空が広がる夏の野外ステージへと変えたあと、共感性の高いエモーショナルな歌詞で、さらなる高揚感を呼び起こしていく。中盤のMCではASH DA HEROのメンバーとの関係性について触れ、今回対バンをやるきっかけについてKENTAは以前からASH(Vo)と親交があり「過去に1度オファーを頂いたんだけど、そのときはスケジュールが合わなかった」と明かした。それ以外にも、WANI(Dr)がUZの地元の先輩であること。さらにMOMIKENは過去にSato(Ba)と対バン経験があり、その後「ベース飲み会」で人生相談をされたことなどをそれぞれが語り、それらが今回ツーマンという形につながったことに対して、驚きとともに感謝を述べた。後半はYOSUKE のボーカルが激しいシャウトから柔らかなファルセットへと滑り込んでいく「RE-BIRTH」からスタート。これで場内をロックオンしたところに「ROCKIN’ OUT」、さらに「RAGE OF DUST」ではフロント3人がお立ち台に立ち、KENTA、MOMIKEN、UZとソロ回しを華麗にアクトすると、フロアは大興奮。YOSUKEがさらに客席の柵に足を伸ばして突っ込んでいくと、悲鳴のような歓声が上がり、そのエネルギーを観客一丸の盛大なシンガロングへとリードしていってみせた。
そうして、このあと突然YOSUKEが「助っ人呼んでいいですか?」と観客に語りかけると、ステージにASH DA HEROのボーカル、ASHが飛び出してきて場内は騒然。「サムライハート(Some Like It Hot!!)」が始まると、サビを2人がハモリながら歌うという今夜しか観られないパフォーマンスに、観客はタオルを回しながら絶叫。ASHに呼ばれたUZが、その2人の間でギターソロを恍惚な表情を浮かべて披露し、今夜のハイライトとなる絶景を作り出したところで、ASHはYOSUKEと熱い抱擁を交わし、頭をくしゃくしゃっと撫でたあと、客席に手を振って軽やかに降壇。
そうして、SPYAIRのステージを締めくくるラストソングとして届けたのは、もちろんあの「オレンジ」。「歌ってください」といったYOSUKEは、センターにスタンドマイクを立て、万感の思いを込めてこの曲を絶唱。その瞬間、歌詞に歌い込んだ“少し苦い オレンジのよう 後に残った切なさ”通りのセンチメンタルな感情が場内に充満。“君は進んで行けばいいんだよ”という言葉に背中を押され、観客たち全員がハンズアップし、大きな感動が場内を包み込んだところで彼らのライブはドラマチックにフィニッシュを迎えた。
セットチェンジを挟んで、このあとはGACHINKOの主催者であるASH DA HEROのステージへ。対バンということで、まずは彼らのライブを初めて見る人たちに挨拶代わりにWANI(Dr)、Dhalsim(DJ)、Sato(Ba)、Narukaze(Gt)が次々と自己紹介をするようにソロを披露する「Super Sonic」を届け、そこにASH(Vo)が加わると音が消え、サイレントな空間のなかで間髪入れずに“くそっくらえ〜”と「反抗声明」を歌い出すというスリリングなオープニングで、場内を冒頭から彼らのステージに引き込む。曲が始まると、Dhalsimと一緒に会場に集まった全員が一丸となって普段は心のなかでしかいえないような「くそっくらえ」というフレーズを、雄叫びをあげるように大声で歌う景色は壮絶!! こんなことができてしまうのが俺らの空間、とでもいうように「俺たちがASH DA HEROだ!」とASHが誇らしげな表情を浮かべて、ライブの幕開けを告げ、そのまま「One Two Three」へとなだれ込む。観客たちが楽しそうに“One Two Three”のカウントに合わせて指を折り曲げる中、間奏が始まると2人のマスクマンがステージに乱入。そうして、戦いの狼煙を上げるようにASH DA HEROは、このあと「Avengers」をドロップ。圧倒的に高いエネルギー総量をキープしたまま、Narukazeのロカビリーなギターリフ、グルーヴィーなうねりを生み出すリズム隊にDhalsimのスクラッチプレイ、ASHの歌とラップが合わさっていって彼らならではのショーを展開。俺たちが音楽シーンにAvengersとして乗り込み、この音楽でどデカい風穴を開けてやるといわんばかりに、新世代ならではのミクスチャー・ロックンロールをフロアにビシバシぶちこんでいく。そうして、初めて観るお客さんたちが彼らのステージングに慣れて来たなという絶妙なタイミングで、ASHが「タオルブチ回します。よろしく!」といって、次の「WARAWARA」という彼らのパーティーチューンへとつなぐと、フロアでは彼らとSPYAIRのタイトルが入り乱れ、夏フェスさながらの華やかな光景が広がる。ASHが「東京、ついにきてしまいました。“GACHINKO”ツアーファイナル」と改めて挨拶。先手のSPYAIRのライブについて「いちSPYAIRファンとしては“セトリ神なのか”と(笑)。ASH DA HEROを叩きのめしに来たセットリストですね」といって、彼らがガチでこのツーマンに挑んでくれたことを大絶賛。そうして「これで終わるの寂しい? 違うだろ。君が、お前が、あなたが、俺が大優勝するためにここに来たんだろう? だったらもっともっとお前らの声聞かせてくれ」と叫んだあと、新曲「Beast Mode」をアクト。このツアーのなかで育ててきたこの曲は、メンバーと一緒にフロアのオーディエンスも大合唱。その合唱が曲に彩りと迫力を加えていく。その歌声を満足げに受け止めたASHは「ここにいる全員で今日しか生まれないこと、やらない?」と語りかけたあと「紹介します。YOSUKE!」といってYOSUKEを呼び込む。観客が騒然とするなか、コラボTに着替えたYOSUKEがチャーミングな笑顔をうかべながら登場。そうして、このあとはツアー中、ライブを重ねるごとに進化してきた新曲「オクターヴ」をYOSUKEとともに歌唱。Satoが緊迫したオーラを放ちながら、壮絶なダウンピッキングで楽曲を前へ前へと押し進めていくと、サビパートをユニゾンで歌う2人の声も徐々にエスカレート。お互い目線を外すことなくアクトするボーカリスト同士の、ヒリヒリするようなガチコラボを見せつけられたフロアは、場内一丸となった壮大なシンガロングで彼ら2人の熱い共演を讃えた。
今回のツアーはリスペクトを込め、対バン相手にふさわしい選曲を毎回行ない、どの会場も違うセットリストでツアーを展開してきたASH DA HERO。最終日、SPYAIRを相手にしたこの日の選曲のなかで、もっともファンを驚かせたのが、バンド編成になる前のソロ曲「Prologue」のアクト。場内は静まり返り、この曲に助けられた経験があるファンは、タオルで涙をぬぐいながら曲に聴き入る。そんなフロアの視線をいっきに集め、“この世界には居場所なんてない”、“夢や希望はない”と嘆き、独りきりでさまよう君に対して“ならば僕は作ろう”といって、会場にいる観客一人ひとりを指差し、ものすごい眼圧でアイコンタクトを交わしながら、小指を立てて約束を交わしてくASH。それを受け止めたオーディエンスは、曲のラスト、誓いを立てるようにこの日もっとも美しい合唱をステージに届けてみせた。
感動に浸っているファンを「楽しんでますか、新宿。これを機会にSPYAIRとはズブズブの関係になっていきましょう」といってASHが空気を和ませ、ライブはここからいよいよ後半戦へと突入。ここで繰り出したのは、もちろん「Judgement」。ASH DA HEROのなかでも圧倒的な知名度を誇るこの曲は、ライブでもダントツの破壊力でフロアを圧倒。WANIは激しいドラミングに合わせてヘドバンを繰り出していくなか、Dhalsimがさらにフロアを煽り、観客たちはどんどん一体感ある盛り上がりで白熱。そうして会場全体が一つになり、テンションもマックスに高まったところに最高のパーティーチューン「YELLOW FEVER DANCE」を投下。NarukazeとSatoもステージを縦横無尽に動きまくり、フロアに負けじとステージ上も大騒ぎ。すると、その大騒ぎのステージにSPYAIRのKENTAがいきなり乱入! 演奏が中断するなか、KENTAは舞台中央に立ち、Tシャツの袖を破り捨てたと思ったら、スティックを手に持ちドラム台へ。そうしてWANIとメンバーチェンジ!! 大歓声が上がるなか、このあとはKENTAのドラムで曲がリスタート。WANIはフロアの中央まで進み、360°を映せるカメラを掲げて、この狂喜乱舞の盛り上がりを楽しそうに撮影。最終日、この夜ならではのクレイジーなパーティーを作り上げた場内を改めて見回し、ASHは「とんでもねーことになったな」と叫びながら、ニヤリ。その勢いのまま小気味好い「Remember」へとつないでいくと、場内にはピースフルな開放感が広がっていき、オーディエンスは気持ちよく自分を解き放つように天空に向かってタオルを投げてみせた。
そうして、最後は巨大ミラーボールが天井で回り、フロアめがけて無数の光の粒を降らすなか、これから再びともに明日に向かって進んでいこうというように「Light my fire」をパフォーマンスして、この夜のツーマンとGACHINKOツアーのファイナルを感動の中、締めくくった。 終演後、SPYAIRを呼び込み、記念写真を撮影したあと、ASH DA HEROは9月7日(土)に東京・duo MUSICEXCHANGEにおいて<ASH DA HERO “3rd Anniversary Live 2024”>を開催することを発表。こちらのチケットはOFFICIALファンクラブ・Circle Aのほうでチケット先行が6月24日(月) 23:59まで受付中。GACHINKOツアーで様々なバンド、アーティストとのツーマンを経て、いま絶好調な状態の彼らがワンマンではどんな最強のショーを見せてくれるのか。期待して足を運んでもらいたいと思う。
ライター:東條祥恵
カメラ:堅田ひとみ